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1.製品紹介 |
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アスクルシャフトを回転させた状態でラジアル/スラスト中間角度の
荷重を与え、フランジ部の強度耐久性を評価する装置です。
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2.試験機コラム |
[開発試験機のトレンド] |
百年に一度の大変革と呼ばれる自動車産業の激変期、開発試験機においても従来と異なるトレンドが生まれてきています。
その特徴は、①HDR(ハイダイナミックレンジ)、②高精度・高応答、➂多種対応化の3点かと思います。
①HDRとは、本来、音声や画像などで広範囲計測に使われる言葉かと思いますが、ここでは回転数制御で用います。従来の内燃機関では、アイドルは5百rpm以上、最高回転も一般的には1万rpm以下、その比は20倍以下。それに対して、EV化されるとモータ回転数は、始動時は百rpm以下の制御から、最高回転は高出力小型化傾向により2万rpm以上、その比は数百倍に及びます。当然、試験機に要求される計測・制御回転範囲もこれに準じた期待値があります。
②高精度・高応答も回転数やトルクの計測・制御要求が中心ですが、定常状態の安定性はもちろん過渡的状態の把握要求が年々高まりつつあります。そのためには試験機を構成する計測・制御要素機器に高分解能・高応答素子を用いる必要があり、ロバスト性(耐環境・外乱性)との兼ね合いで、悩ましい問題です。
③多種対応とは、一つの試験機で他機種・多用途に対応させたいといった希望で、単に出力の高低だけでなくFF・FRや補機、内燃機関・ハイブリッド・EVの全てを1台で対応させたいといった要求。また、機能・性能・耐久といった異なった試験内容の全てを実施したいといった欲張った話も増えてきています。
限られた開発期間・スペース・予算で最高のパフォーマンスを要求されている最前線のエンジニアの気持ちを考えると理解できないでもありませんが、そうは言ってもモノには限度というものがあります。
日常生活の中で、体重計を使って調理の素材分量や封書の重さを量る人はいないと思いますし、作業現場でもメジャーとノギス・マイクロメータは用途に応じて使い分けていると思います。ところがそれと同じことを開発試験機の企画段階では平然と要求されてくることがままあります。同じ光学機器といっても、顕微鏡と天体望遠鏡はやはり別物。分別のある企画検討が非常に大事なこととなります。
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3. 書籍紹介 |
『生き物の死にざま』
稲垣栄洋著 草思社 2019年7月発行 |
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なかなかショッキングな題名ではありますが、中身は極めてまじめ。動物の生態、特に子孫を残す営みのオムニバス。
哺乳類・鳥類・昆虫他、地上・地中・海中、あらゆる場面で懸命に命を繋いでいくさまざまな生命のドラマを、著者独特の柔らかな口調で物語っていきます。
単に生き物の生態を語っているだけではありますが、それを超えて、そもそも人間は何のため生き、何のために死んでいくのか?そんな哲学的命題をも示唆しているように感じます。とかくギスギスして、事件だらけの人間社会ですが、生き物の懸命な生きざま(死にざま)を識り、謙虚に命を全うすることの尊さ、そんな当たり前のことにあらためて気づかされます。
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4.ブレイクタイム
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【ラグビーワールドカップ】
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ラグビーワールドカップが始まりました。
4年に一度開かれる、15人制ラグビーの世界一を決める国際大会です。サッカーワールドカップ、夏季オリンピックに次ぐ規模の世界3大スポーツイベントとされています。世界中が注目するイベントです。第1回大会は1987年にニュージーランドと豪州の共催で行われました。これまでヨーロッパやオセアニア、南アフリカの強豪国で開かれ、日本大会はアジア初開催です。開催期間は、9月20日(金)~11月2日(土)。開幕戦は東京スタジアムで日本対ロシア戦です。結果はどうだったのでしょうか?日本代表はプールAでロシア代表との対戦後、アイルランド代表、サモア代表、スコットランド代表と戦う予定です。決勝戦は、11月2日(土)横浜国際総合競技場。とても楽しみですね。
また、公式マスコットはペアで「レンジー」と呼びます。古来より幸福を招き、邪悪を退ける聖獣とされてきた獅子が、ラグビーの5つの価値(品位、情熱、結束、規律、尊重)と出会って生まれたのが「レンジー」です。白い髪の方は親の「レン」、赤い髪は子の「ジー」。その名前はチャレンジとも重なり、見た目も歌舞伎の連獅子のような可愛らしいキャラクターです。
ラグビー初心者には、ルールが難しいとよく言われます。反則は「前に落とすノックオン」と「前に投げるスローフォワード」さえ知っておけば、なんとかなるようです。もっと知りたい人には日本ラグビーフットボール協会のホームページ「ラグビーを知る・楽しむ」のビギナーズガイドがおすすめです。
そして、会場に応援に行けない人には全国開催都市に無料で入場できる「ファンゾーン」が設けられています。大型ビジョンを使用した、試合のライブ中継などが楽しめる場所です。ここ浜松でも「ファンゾーン」があるので、一度体感してみたいと思います。「4年に一度じゃない一生に一度だ。」を…。
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5. -コラム- |
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「自然災害とEV自動車」
/青木邦章
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今年も台風の季節がやってきて、国内外ともにいたるところで猛威を振るっています。感覚的な話で恐縮ですが、どうもこの2~3年、停電の際の復旧に今まで以上に時間を要しているように思います。
主な原因としては、①地球温暖化(日本の亜熱帯化?)によって台風の威力(特に風力)が増していること、それに対して②電柱・鉄塔などのインフラが経年劣化してきていることではないか?と想像しています。電柱の倒壊・電線の断線などが、一時期・一地域に多数発生し、復旧技術者の不足で時間ばかりが過ぎていくといったところが実情なのでしょう。
本来ならば、災害対策のため送電線の地中化を一気に進めるのが最善ですが、予算からしてもすぐに解決できるものではありません。身近な対策として考えられるのが、個々の家で最小限の発電機能を持ち、復旧までの時間つなぎをすること。太陽光発電や非常用発電機などもあり得ますが、防災投資としてはなかなかの金額。
そこで思いつくのが、EV車の活用です。完全なEV車ではバッテリから給電できる時間はわずかであり、停電復旧まで数日を要する場合は役立たず。逆に充電できないため自走もままならなくなります。やはりハイブリッド車(ガソリン燃料で発電できる車)が現実的。特にプラグインハイブリッド車(PHV)なら、発電容量も電池容量も大きく適切かも?最小限の照明や通信機器、ちょっとした湯沸かしレベルならば、十分対応可能なように思います。
数年前は期待が高かったPHVも、実際発売されてみると車両価格や電池の重量・スペースからか、なかなか普及していないのが現状。街乗り時はEV車、長距離時はハイブリッド車と有用でありながらも決定力にかけていたPHV。そこに防災といった観点を付け加えて、政策的な優遇策を講じれば普及に弾みがつくようにも思います。
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6.マーケティングコラム
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[はじめに顧客ありき] |
「ニーズに応えて利益をあげる」マーケティングにとって一番大事なことはなんでしょうか。1に顧客、2に顧客、3・4がなくて、5に顧客です。自社の強みや、競合について知ることもたしかに大事です。しかしそれらもお客様あってのこと。まずは、顧客の声に耳を傾けなければいけません。
顧客志向で大成功した例として、コマツのKOMTRAXシステムがあります。KOMTRAXとは、現場の建機に搭載したGPSを通して情報収集し、稼働状況を集中管理する小松製作所が開発したシステムのことです。実はこのシステム、ビックデータやIOTといった言葉が話題になる前の1999年に顧客のニーズに向き合ったことから生まれたのです。
1990年代後半、重機によるATM強盗を目的とした、建機の盗難事件が多発していました。顧客からの盗難防止ニーズを受けコマツは、利益度外視で全ての建機にGPSを標準装備したのです。この結果、盗難が防止されるばかりでなく、利用情報が蓄積されることによる保守管理費用や保険料の低下などの思わぬ副産物が生まれ、コマツは建機の売上を伸ばすこととなったのです。
マーケティング・顧客といった言葉を聞くと、STPのような戦略を思い浮かべる人もいるかもしれません。顧客を分類し(=セグメンテーション)、どの顧客に注力するか決め(ターゲティング)適切な市場地位を確立する(=ポジショニング)ことは確かに重要です。しかしそれは、自社の製品ありきで決めるのではなく、顧客が求める価値ありきで考えなければいけないことなのです。
自社が提供するモノによって顧客価値が生まれるのではなく、顧客の意見をもとに、総合的なサービスを提案した結果として、顧客価値が生まれるという考え方を、「サービスドミナントロジック」と呼びます。
ついつい自社のモノの性能を高めることに注力しがちですが、本当の価値は、顧客との対話を通して、顧客とともに共創するものなのです。
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7.やまのひとりごと |
少し秋っぽい気候になってきたかな?と思うとすぐに暑さが戻ってきますね。
夏がようやく終わった…と思うとすぐにやってくるのが冬。もっと秋の雰囲気を楽しみたいのにな、と思うやまなのでした。
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