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1.製品紹介 |
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自動車トランスミッション用遊星歯車ユニットにトルク・回転を付加し、耐久試験を行う装置です。
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2.技術コラム |
[制御抽象化] |
抽象化するとは、その道の専門家にしかわからない世界を作り上げる、ということでもあります。弊社の製作する装置では、各種のモータを使って自動車のシミュレーションなどを行います。市販されているモータを使う側ですので、設計製作する側とは違った見方でモータ制御の世界を見ていることになります。設計製作側と同じ世界観を持っていれば、装置を初めて動かす時点でその挙動や性能を思った通りに実現できるのかもしれません。ですが、大抵は考えていたものとは違う動作となってしまい、時間を掛けてデバッグしていくことになります。
モータ制御の抽象化を覗いてみましょう。
モータは入力された電力を回転に変換、そこで得られる回転数やトルクで機械を動かします。物理的には、F=Bli(F:力、B:磁界、l:導線長、i:電流)で表現されます。高校の物理で習った通りです。つまり、電流を制御すれば回転角や回転速度、モータトルクをコントロールすることが出来るわけです。
モータ制御は、電流ループ・トルクループ・位置ループといった3段のフィードバックループで制御を行っています。弊社の技術者がさわれるのはそれらのループを代表するモータアンプへの指令値であり、位置制御を実現しようとすると、パルス列を送りそのパルス数に比例してモータの位置を制御することになります。
1パルスあたりの回転角を決めて、必要な回転角分のパルスを指令することで必要なモータ回転角を得られるのですが、プログラム的には繰り返しループを使ってパルスを送ることになります。結果的にループ時間毎に所要パルスを排出するので、モータコントローラからすれば速度制御を行っていることになります。見かけ上は位置制御を行っているのに、です。
モータメーカと話をしていると、こちらは位置的に制御を考えているのにメーカ技術者は常に速度制御で要求を捕らえていることに気づきます。これも抽象化する過程が違っているからこその世界観の違いのあらわれです。一旦これに気付くと、モータ制御も格段にわかりやすくなる。
抽象化により世界が広がった一例です。
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3. 書籍紹介 |
『日本の地下で何が起きているのか』
岩波科学ライブラリー 蒲田浩毅著 2017年10月発行 |
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2011年3月11日に発生した東日本大震災は、日本人全員にあらためて地震列島・火山列島に住む宿命のようなものを想起させました。しかし、あれからはや7年、実際の被災地の方以外は遠い昔の出来事として、(あえて?)忘れ去っている面もあるようです。
実際にはその後も熊本地震や御嶽山噴火、さらには蔵王・男体山・西之島・硫黄島・霧島・桜島・口永良部島と、日本全域の火山が活発化している様相。いつ、どこで、何が起きてもおかしくない状況が続いているようです。
本書は火山学・地球科学専門の著者が、冷静にかつ分かりやすく日本列島の地下で起きていることを解説し、どのような心構えを持つべきかをやさしく説いています。
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4.ブレイクタイム
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【チョコレート】
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寒さがよりいっそう厳しくなり、外出時はマフラーや手袋が手放せなくなりました。寒い日が続いておりますが、皆さま体調はおかわりなくお過ごしでしょうか。
コンビニやスーパー、そして百貨店では、カラフルで華やかな包装紙に包まれたチョコレートが並ぶ時期ですね。チョコレートは海を渡り日本にやってきた食べ物のひとつです。伝来した時期は江戸時代。明治時代になると外国から輸入されるようになりますが、庶民には手の届かないぜいたく品だったそうです。
古人は、どのような景色をみながらその心地よい味と香りを楽しんだのでしょうか。大正時代に入ると一貫製造が国内でできるようになり各地で食べられるようになりました。
以前、チョコレートは「ダイエットの敵」と思われていましたが、最近では「味方」に。理由は、チョコレートに含まれる栄養成分(カカオポリフェノール・ミネラル分・食物繊維等)に、いくつかの健康効果があることが広く知られるようになったからです。
期待できる健康効果
・生活習慣病予防
・ストレス解消
・肥満予防
・歯周病予防等
この季節、日本の美しい冬景色を見ながら、洗練されたデザインの味わい深いチョコレートをいただいてみたいですね。
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5. -コラム- |
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「夢か、うつつか?限りなくあいまいな現代世界」
/青木邦章
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2018年を迎え、皆様はどのような初夢を見られたでしょうか?また、家族や職場で将来の夢として、どんな決意表明をされたでしょうか?
夢というものは、「夢を持て」と前向きに捉えられることもあれば、「夢のようなことばかり言って」と後ろ向きに扱われることもある不思議な存在。
そもそも、夢とうつつ(現実)とはどのように区分されるのでしょうか?実体の有無で分けられるかというと、ちょっと不安。脳の認識的には事象に継続性があるかどうか?あるいは外界との双方向性があるかどうか?などがポイントといった説も。
確かに睡眠中に見る夢は基本的にはその場限りの読切りストーリー。また、頭の中で自分勝手に都合の良い展開もしばしば。しかし、IT全盛の現代社会では、これでは両者の境界はあいまい。
たとえば、現実世界ではありえない空想の場で繰広げられる種々のバトルや恋愛ゲームアプリはどっち?継続性もあるし、対戦相手もいるけれど、実体は?
一方、現実世界でもマルチロール(複数役割)/マルチジョブ(複数業務)化された生活や仕事、小刻みに分断されて複線並行展開が常。継続性もないがしろにされ、双方向性もリアルタイムではないことが当たり前の時代。家に引きこもってゲーム三昧のオタクの方が、見方によってはよっぽど現実的かも?
さて、このように脳内・電脳内・実社会が、時間的・空間的に複雑に絡み合って、限りなくあいまいに進行している現代社会。無人兵器を地球の裏側から制御しているとか、VR(仮想現実)・AR(拡張現実)・MR(複合現実)オンパレードで虚実がまぜこぜになっているとか、昭和の時代の良識人では考えられないことだらけ。まじめで一途な性格の人ほど、適応障害になってしまうかもしれません。
では、こういった社会での脳の不適合防止策とは?たまには、PC・スマホをはじめとするあらゆる電子機器を遠ざけて、ひたすら自然環境の中でいたずらにアナログに時を過ごすことが大切なのかもしれません。
汗まみれ、泥んこまみれの経験が太古から続く五感・六感を蘇らせてくれること請け合いです。
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6.技術コラム
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[仕事の能力② 意識について] |
前回、仕事の能力における手法や技術についてお話ししましたが、今回は「意識」についてです。意識というと抽象的で漠然としていますが、同じ作業でも嫌々やらされている状態と自ら進んでやる状態では結果に違いが出てきます。やる気の大切さは誰しもが知っている事かと思います。
意識には、自分でコントロールしている「顕在意識」と自分ではコントロールできないその奥にある「潜在意識」のふたつがあり、脳科学においては、顕在意識はわずか10%以下(最近の研究では1%以下という説も)といわれています。その潜在意識をどの様な状態にするか、という視点で仕事の能力について観察してみると、わかることがあります。当然誰もが目標を達成しようと考えているし、努力をしています。しかし、それをどこまで深く意識しているか、ということに違いがあらわれます。
目標達成する確率が低い人は目標を達成しようとする一方で、潜在的に「できなくても仕方がない」「どうせまた間に合わない」という意識も持っており、そういう場合は何か問題が発生した時の言葉ですぐにわかります。いわゆる「できない理由」を並べるからです。これは心理学で言う「セルフハンディキャッピング」でも説明できます。自分のことを、能力はあるが発揮できる環境ではない、と考えることで失敗しても自分の責任ではなく、成功したら能力のおかげ。つまりどちらに転んでも自分に都合の良い様にとらえるのです。これがやっかいなのは、自分を守るために無意識にそう考えている点にあります。
それに対し、目標達成する確率が高い人は「目標達成することを前提として」行動しています。
言葉にするとあたりまえの事ですが、何か想定外の問題や遅れが発生しても目標を達成することを前提にしているわけですから、どうすれば遅れを取り戻せるかをまず考えるわけです。これを潜在意識の中でも持ち続けるとどういうことが起こるかというと、別の仕事をしながら、風呂に入りながら、眠りながらでも潜在意識が働き続け、うまくいく方法を見つけ出したり、無意識に優先順位をつけて効率よく仕事をこなしたりする。その結果、目標達成する確率が高まる、という訳です。
もちろん目標達成の高い意識を持つには、責任を負う覚悟とストレスが伴います。それができるかどうか、ということが重要でもあります。
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7.やまのひとりごと |
1月22日、首都圏では4年ぶりに20センチ超の積雪が観測されたそうですね。
子供の頃は、雪が降ると雪だるまを作って遊んだり、いつもと景色が変わって静かな雰囲気になるのが楽しかったように思います。ですが、大人になると電車の運行状況や衣類の防寒対策など気がかりなことばかり…。雪で足元が滑りやすい状況の時は、転んでも両手が使えるリュックサックがおすすめだそうですよ。
素直に雪を楽しめた頃にもどりたい(?)やまなのでした。
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