目次
1.製品紹介
2.技術コラム
3.書籍紹介 
4.ブレイクタイム
5.青ちゃんの言いたい放題
6.技術コラム
7.やまのひとりごと









1.製品紹介

モータ・インバータ・コンバータの性能評価(損失分析)を行う装置です。
 




2.技術コラム
[安全性]
 日経テクノロジーオンラインの年間アクセスランキングトップ100特集に、テスラ車の事故関連記事が5件も挙げられています。EV&安全運転関連に対する技術者の関心が昨年に引き続き依然として高かったこの一年を象徴しています。

 自動運転中に起こってしまった事故として注目を集め、安全運転技術の将来性を阻害してしまうような事件だったと感じています。自動運転技術への期待と話題ばかりが先行する事への不安。事故発生時、完全に自動運転化されていたわけではなく、「車の自動化の定義」においてレベル2以下だったとのことです。つまり、事故が起きてしまった現バージョンは「最終的な責任は人間が負う」と判定されており、自動運転としてはまだテスト段階の車両。運転者のテスト車への過度な信頼が招いた事故だったというのが真実の報道となります。記事とするのに「自動運転による事故」のほうがセンセーショナルなわけで、「公道でのテストかつ運転支援システムでの事故」であることを全面に出していれば、これだけのヒット率で読まれることも無かったのでしょう。
 最近ではDeNAが運営する健康関連サイトが、検索エンジンの上位にヒットするよう文章を細工していたことが話題にもなっています。情報が簡単に検索されるので、その内容を吟味することなく妄信してしまう。その結果間違った論理を元に対処し、問題解決できたと勘違いしてしまう。ありがちなことです。装置立上げ時の課題解決にも、同様なポカミスをして立ち往生する事が多くなってきた気がしています。

 総括するに、知識の安全性を確保する場合に一番の近道は文献と識者への接触です。文献は最初のうち技術用語に圧倒されがちですが、ある程度読みこなす内に理解度が深まり、より難しい内容への興味が湧きます。その段階を経てさらに識者に接触できれば、理解の裏づけができ習得度が飛躍的に高まります。
 弊社ではこの姿勢を保ちつつ安全性の確保に努めています。




3. 書籍紹介
『「古代日本」誕生の謎 大和朝廷から統一国家へ』  
武光誠著 PHP文庫 2006年1月発行  
 小学生の頃、卑弥呼の物語にワクワクし邪馬台国はどこにあるのか、といろいろ思いを巡らせていた方も多いのではないでしょうか?あれから50年、考古学にもさまざまな科学的ツールが導入され、当時に比べると裏付け資料も充実してきているようですが、それでも謎のままの事柄も結構多いようです。

 戦後の小中学校の日本史教育は、大化の改新あたりから始まって明治の頃まででおしまい。政治的な思惑や様々なシガラミもあって、日本国家の起源や現代社会に直接通じる大正・昭和の世界は、意図的に教えられてこなかったようにも思われます。そのため、どうも歴史と個人の生活との間に断層が生じ身近に感じにくい状況となっているのではないでしょうか?

 この正月休みはこたつに籠って、書物を通じ古代を訪ねる旅をしてみるのも一興かも?




4. ブレイクタイム
【お雑煮】
 お正月には、おせち料理と一緒にお雑煮をいただきます。
 お雑煮は、年神様のためにお供えしたお餅と山海の幸とを雑ぜて煮て食べ、一年の安泰を祈願したことより由来します。神様にお供えし、ありがたく一緒にいただく神人供食の祭事が原型でした。

 お雑煮の中身は地域ごとに違うようです。大きく分けると、宮廷文化が色濃く残る関西ではみそ仕立て、武家の支配が長かった東日本では角餅にすまし汁が多いと言われています。ここ浜松では、すまし汁に角餅を煮るタイプが主流。おもち大好きな私は、いつか日本全国のお雑煮を食べてみたいです。
 私の家で作るお雑煮は関東風に近いです。角餅を焼いて、里芋などを具としてお雑煮に入れます。子供たちがいつか思い出してくれる、我が家のお雑煮になっているといいな…と思いながら作ります。

 今年のお正月も、「おもち何個食べるのー?」と子供たちに聞きながら、慌ただしく過ごしていることでしょう。





5. -コラム-
「インバウンド観光振興への疑問
                                             /青木邦章
 21世紀になり日本が誇るモノづくり大国としての位置づけが陰りを見せる中、インバウンドというキーワードで観光立国展開が盛り上がりを見せています。現在年間約二千万人の訪日客がありそれをさらに四千万・六千万人へと増加させる政策とか…。グローバル化と低賃金労働の新興国に追われる、先進国がたどる必然的道筋なのかもしれません。

 成功要因としては、世界中の人を惹きつける自然と文化の存在。幸い日本は緑豊かな山河と起伏に富んだ海岸線を有し、いたるところに温泉が噴き出る恵まれた自然環境。また、二千年を超える独自の歴史・芸能・食という魅力的な文化、さらには安心安全な街並みもプラスに働くことでしょう。
 地方も含めて主要都市部では出張の際になかなかホテルが予約しにくかったり、値上がりしたりで我々ビジネスマンには悪影響も見られますが、経済全体から考えたら、まあやむを得ない範囲かもしれません。

 しかし、そんな中でちょっと気になることもあります。一つ目はユニバーサルデザインと称して多言語化が進む街中の案内表示や看板類。英語はともかくとして、果たして中文やハングルまでも併記する必要があるのだろうか?我々が台湾や東南アジアで見かける怪しげな日本語表記の看板、旅行者として好感を持てる部分ばかりではありません。むしろ興ざめしたり、商魂のたくましさに面食らう面も多々あります。
 そして、もう一つはカジノを主眼としたIR・統合型リゾート施設整備法案。ギャンブルにまったく関心がない青ちゃんゆえ、基本的には理解の範囲外。しかし、それ以上に単純にビジネスとしてとらえてみても、果たして日本でのカジノ運営が収益的に成り立つのか疑問に思っています。以前、マカオを視察したことがありますが、それはそれなりに大規模投資と特殊なノウハウや施設整備が必要な世界。近隣諸国にそういった施設がいくつもある中で、それらを上回る魅力的な存在になれるのでしょうか?

 日本独自の丁半博打や花札賭博というのならちょっと話は違うのかもしれませんが(笑)、あえて日本に来てまでも普通のギャンブルをしたい輩がどれほどいるのでしょうか?役人や議員発想の武士の商法とならなければよいのですが…。





6.技術コラム
[身近な材料力学]
 前回は機械工学の柱となる4力学「材料力学」「機械力学」「熱力学」「流体力学」についてご紹介しましたが、今回はこの中の材料力学について身近な例を交えて解説してみたいと思います。
 当社の製品である開発試験機の設計で材料力学を使うのはフレームの構造や板厚をどの様にするか、スピンドル軸の太さをいくつにするか、材料のバネ性を利用した機構でどの様な形状・強度のばねを使うか、など多岐にわたります。機械装置だけでなく、実は身の回りの普段何気なく見ている物も材料力学的にきちんと考えられたものであるのです。

 例えば、金属の弾性変形を利用したゼムクリップ。ある程度までは元の形に戻りますが、変形させすぎると元に戻らなくなります。戻る範囲が応力~ひずみ曲線と言われる材料特性の弾性変形域で、戻らなくなる範囲が塑性変形域です。板バネと呼ばれる薄い金属材料の弾性変形を利用したダブルクリップや、コイルバネを利用した目玉クリップもあります。クリップの設計にあたっては、使いやすく壊れないようなばねの選定計算がなされているはずです。
 小学校で使われる机や椅子の形状にもそれぞれ意味があります。ただ置かれるだけであれば垂直の4本足があれば良いですが、斜めに寄りかかることなどを想定するとある程度の角度が必要になります。しかし、単純にそうしてしまうと上から荷重をかけた時に水平方向の分力が発生して足が開いて壊れてしまうため、それを防ぐ横の梁が必要になります。机と椅子それぞれに横の梁が必要かどうか、各部の角度・位置・太さなども材料の断面係数や縦弾性係数、更には溶接強度などから検討・計算することができます。

 複雑な機構を持つ試験機も、この様な計算を積み重ねて設計されていく訳です。開発現場で使われる設備には意匠性の高さは必要ありません。ですが、「良く飛ぶ飛行機は美しい」という言葉がある様に、機能を追求して無駄なものをそぎ落としていくと、洗練された美しい姿になっていきます。
 その意味では、「美しい開発試験機」を生み出していく企業でありたいと思います。
7.やまのひとりごと
 あけましておめでとうございます。
新年第一号と言う事もあり、心機一転、今号から一部構成を変えてお送りしております。
さらに読み応えのある誌面を目指していきたいと思います。
本年もSpaceCreationNewsを何卒よろしくお願いいたします。