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1.製品紹介 | |||||||||
【動力循環式ギヤテスタ】 |
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自動車用ギヤの歯当たり及び耐久試験をする装置です。 入力された運転パターンで、トルク、回転数、潤滑出口油温、潤滑油流量、タンク油温、振動等の測定に 対応することができます。 |
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2.技術コラム | |||||||||
[共有化] | |||||||||
情報共有化が社会的なトレンドとなっています。メリット、デメリットさまざまで危険な一面を持つのが共有化だと思います。ただ、今の時代はかってない豪快な変化を伴っており、良い悪いの判断をする前に変化に乗らないと時代に取り残される風潮にあります。仲間あらばシェアする時代となってしまったのです。 弊社の提供する装置においては、計測データが重要な役割となります。最近では、計測データを中心に共有化する規格標準化が本格化しつつあります。計測、キャリブレーション、シミュレーション、診断、テスト領域において包括的なインターフェースを定義することに焦点をおいたものです。 それらは3つの規格に分けられており、ECU開発や設計&実装に適用される=ASAM AE(*1) 。ECU開発の検証&承認、エンジンやドライブトレーンの自動化テスト、およびキャリブレーションに適用される=ASAM CAT。両方で共通に適用される=ASAM COMMON。と、ドイツの管理団体により2000年ごろから本格的に立ち上り、計測やテスト自動化の際にどうしても発生するオーバヘッドのテストツールの接続や、データ交換の複雑さを解消、全体的に効率化を図ろうとするものです。 弊社では、装置データ集録ソフト開発については主にLabVIEWで行っています。LabVIEWにはASAM CATのODS(*2)規格に基づくDIAdem(*3)アドオンを供給することが出来ますので、データが部門間、さらには会社間を越えて共有化されます。それと共に、規格上データの永続性についても保証されることになります。 自動車開発のVプロセス(*4)で、左側に位置するASAM AE、右側に位置するASAM CAT。従来のテストデータ取りはCAT中心でした。最近では、制御モデルを適用させてのMILS(*5)HILS(*6)SILS(*7)も盛んとなり、データとテスト方法、モデルの形式も含めた総合的なデータ管理=ASAMが、もう必須となってきているようです。 (*1)Association for Standardisation of Automation=自動化システムと測定システムの国際標準化団体 (*2)Open Data Service=データの永続的保存と復元を規定するASAM CAT の1規格 (*3)データの検索と管理、データ解析、レポート作成のできる対話型ソフトウェア (*4)製品開発手法をV字に例えたもの。要件抽出仕様決定から設計までをV字の左側、試作からそのテストまでをV字の右側に位置付けて考える (*5)Model In the Loop Simulation (*6)Hardware In the Loop Simulation (*7)Software In the Loop Simulation |
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3. 書籍紹介 | |||||||||
『紙1枚で身につくロジカルシンキング』 大石哲之監修 宝島社 2016年2月発行 |
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IT技術が進歩して、大人から子供までなんでも気軽にネット検索する時代。情報の真偽はともかくとして、世の中からわからない事柄が消えていってしまいました。ビジネスシーンでもそういった検索情報をそのまま鵜呑みにして、安直に事を進めていって大失敗、などと言う例を多く目にします。 ガセネタは論外としても、流布している情報は決してオールマイティではなく、条件限定付のモノも多いはず。それなのに、自分で良く咀嚼することもなくやみくもに信じてまい進してしまう。世の中全体、論理的に思考することが苦手になってきているようです。 本書はロジカルシンキングの基本の基をやさしく解説。思考を手助けするフレームワークも掲載しています。もっとも、これも使い方を間違うと同じパターンになってしまいますが…。 |
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4. 自動車開発最前線 |
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【自動運転の脆弱性露呈?】 | |||||||||
米国で自動運転初の事故が起こりました。事故を起こした車両には、自動運転モードが搭載されており、メーカによると「フォワードレーダ、どんなスピードで走行していてもクルマの周囲4.8m以内のものを360°感知できる12の長距離超音波センサ、フォワードビューカメラ、そして高精度のデジタル制御式電動ブレーキアシストシステム」を使用して「正面と側面からの衝突事故を回避可能」との説明。 自動運転モードへの過信からなのか、ハンドルから手を放して走行中別のことをしていたとの情報もあるようです。しかし、事故が起こってしまった以上、センサやカメラによる360°監視はできていなかったのでは、という考えが浮かんできてしまいます。 やはり、自動運転化については性急すぎると見るべきなのでしょうか?自動運転の実用化が現実のものとなりつつある昨今、自分の操る自動車だけが自動運転車であったとしても突然のイレギュラーに対する回避は簡単ではなさそうです。 単純に自車が安全に走行するだけであれば、周りの車との距離を充分に取ることが重要になってきます。車間距離制御装置は実用化されてはいますが、適度な車間距離を安定的に保って走行するには自車だけが自動運転性能を搭載するだけでは不十分、車対車間での通信が必須となってくるのではないかと考えます。既にCACC(通信利用協調型車間距離制御装置)という名称で研究がすすめられてきているようです。当面は自動運転車だけではなく現在走行している車にお互いの存在を常に知らせるなどができる、車対車間での通信装置の開発が先行されるべきではないでしょうか。 いきなり手放し(?)で走行できる車は時期尚早であり、自動運転とは言え、我々が常に安全運転を心がけることが重要であると感じています。 |
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5. -コラム- | |||||||||
「待ち望まれる自動ブレーキ機構の普及 /青木邦章 |
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自動操舵、自動ブレーキなど、自動走行関連の技術開発が百花繚乱。自動車開発250年の歴史を経て、いよいよ文字通りの「自動車」出現が現実味を帯びてきています。弊社もこの5年で30台以上の関連する試験機をカーメーカやティアワン部品メーカに提供してきました。 センシング技術や法整備については、まだまだといった感がありますが、アクチュエータの自動制御技術については、十分実用化の域に達しています。 そういった中で、特に急かされるのは自動ブレーキの普及。多少車両価格のUPにつながっても、私は新車には強制搭載すべきと考えています。この数年日本各地で発生している高齢者や急病発症者による歩行者致傷致死事故。運転者の意思ではないものの、結果的に自動車が凶器化してしまう事実。更には南仏で起きた意図的なトラック暴走テロ事件。人や障害物を検知したら、運転者の意思にかかわらず強制ブレーキをかける機構の搭載義務化。完璧かどうかはともかくとして、これにより多くの事件・事故が防止できます。 人間の認知や思考・動作は不完全なもの。完全な自動化でなくとも、現有技術でその不完全さを補うだけでも、安全で平穏な社会実現に貢献できるジャンルは数多く存在します。 自動車の購入者に直接的な利益となりにくい(あるいはそう認識しづらい)これらの技術普及に対しては、法的強制力の発動が実効的。車購入可能な程度には経済的余裕がある層であれば、ある程度の負担はやむを得ないものとして、きっと受入れていただけるのではないでしょうか? |
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6.技術コラム |
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[113番新元素発見 |
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理研・仁科加速器研究センターの森田浩介准主任研究員らのグループが、長年取り組んできた新元素合成の実験に成功し、113番元素が新しい元素として国際機関に認定されました。高校の物理で「水兵リーベ僕の船…」で覚えたあの元素周期表の空欄が、ひとつ埋まったことになります。 この発見の持つ意味は我々一般人にはすぐに理解できないのが正直なところではありますが、9年で400兆回の実験を繰り返してたった3回だけ、それもわずか0.002秒ほどの寿命で姿を消してしまう元素の合成に成功した、という事実を聞くだけでも、この成果の凄味を感じずにはいられません。更に感動するのは実験を指揮していた森田研究員の言葉の端々から、一緒に研究した仲間や支えてくれた家族らへの感謝と、好きな仕事に没頭できる幸福感が感じられることです。 数か月家に帰らずに研究室に泊まり込む事もあったそうですが、単に目の前の実験に熱中しているだけでは無く「望む結果が出たら成功、出なかったら失敗とみなさんは言うが、出ても出なくても、それは科学的な事実で研究成果だ。だから、やるだけやって望む結果が出ないという結論に達したらまた次のテーマを探しにいけばいい。」という科学者らしい冷静さも持ち合わせています。だからこそ、仲間を信じやるべきことをやり続ける事ができたのではないかと思います。 思うような結果が出なくてすぐにあきらめたり、環境や他人のせいにしたり、不正を行ってその場を取り繕うような事ばかりが目につきがちな昨今、久しぶりにハッとさせられるニュースを聞かせてもらった様な気がします。 我々の仕事も常に困難と向き合い、経験の無い技術的課題に取り組む日々ですが、技術者として森田研究員を見習い、それこそが幸せと感じられるような取り組み方をしていきたいと考えています。 |
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7.やまのひとりごと | |||||||||
今年から8月の休日が増えましたね。 8月11日、山の日と言うそうですが「山の恩恵に感謝してほしい」という思いから制定されたそうです。暑くて動きたくない…なんて言わないで、今年は休日を利用して山に新鮮な空気でも吸いに行こうか考えています。 |
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