目次
1.製品紹介
2.技術コラム
3.書籍紹介 
4.自動車開発最前線
5.青ちゃんの言いたい放題
6.技術コラム
7.やまのひとりごと









1.製品紹介

【デフ耐久試験装置】

本装置は、動力循環方式にてデファレンシャルギアの
耐久試験を行う装置です。

 

2.技術コラム
[確定性]

 昨年のノーベル物理学賞の受賞理由は「ニュートリノに質量がある事を示すニュートリノ振動の発見」で、梶田さんがテレビでわかりやすく説明されています。発見データを作りだしたスーパーカミオカンデ。そこに取付けられたセンサーは地元企業の提供であることもあり、何かと誇らしく感じています。

 聞けば、先代カミオカンデデータのちょっとした検出数の違いを見過ごさず、その違いに目をつけて追求しつづけた結果から生まれた大発見とのことです。ニュートリノが水に衝突する確率。その反応の微弱な光を受光できた確率。そして、そもそもその検出デバイスを開発できた確率。今耳にしている話題は、確率の掛け算から考えると天文学的な実験を積み重ねないと得られない貴重な発見を目にしているのです。

 弊社の開発する装置も、お客様の研究開発対象となる供試体を測定、そのデータから推論するという点において、正解を得る確率が設計の焦点となります。確率を上げるためには、装置が要求された動作をして安定的なデータを生み出すことが必須となります。不安定な動作をすれば、途端にデータがばらついて思った結果を抽出することが出来なくなるのです。

 言うまでもない事ですが、機械装置はすべてコントローラによって制御されていますのでデータの安定性確保のためには、制御の確定性が必須となります。最近のロボット制御においては、確定性を得る為マイコンによるプログラム的コントロールよりも、FPGAによる回路的なコントロールにより確定性を確保する傾向にもあるようです。

 プログラムによるマイコン使用コントローラの開発手法では、実装が定石&定型化されて開発時間が短縮されています。一方、弊害として実装開発者の応用性が無くなり、結果的に制御の確定性を欠く事が多くなってきている気がしています。次回は、その辺を取り上げたいと思っています。







3. 書籍紹介
『(日本人)かっこにっぽんじん』 2012年5月発行  
幻冬舎     橘玲 著   
 グローバル化が急激に進む中、政治的にも経済的にも世界中でさまざまな問題が噴出してきて、まったく先の見えない時代へと突入した気配が色濃く漂っています。そのような中、日本という国は、あるいは日本人は、どのような位置づけにあるのか?どう行動しどこに向かっているのか?

 豊富なデータと氏独自の感性により、ローカルな視点そしてグローバルな視点で、問題に鋭く切り込んでいきます。日頃、われわれが感じている性善説的な日本人論とは大きく異なりますが、納得をせざるを得ない姿がそこにあぶり出されています。

 ますます狭くなってくる地球上で、日本人はどうやって21世紀を乗り切っていくべきか?あらためて考えさせられる一冊です。




4. 自動車開発最前線
【悲惨な事故回避のためにも】
 新年早々また痛ましい交通事故が報道されました。私が十代のころから愛してやまない、スキーに関連した悲惨な事故。でたらめな管理を行う旅行会社と、運転する技量のないドライバが何十人もの命を乗せて走っていいものだろうか?何をしているんだ!と、怒りがこみあげてきます。

 一方、元日の新聞紙上で今年は自動運転元年だとの見出しが気になりました。「世界は新たな時代に突入した。画期的な技術が私たちの生活を変えようとしている」と、ある自動車会社社長がモーターショーでこう宣言したとのこと。自動走行はドライバの負荷低減や利便性の向上だけではなく、交通事故死傷者の減少や渋滞緩和に資する社会的意義が大きいと言われています。

 車載センサで障害物を認識し、警告を発してもドライバが適切な動作を実施しなかった場合には、自動でブレーキをかけるようになるらしく、非常に頼もしい限りです。しかし、人間であれば誰しもセンサにばかり頼るようなことはしたくないと思うのは至極当然ですし、いくら年をとってもその気持ちは失いたくありません。

 自動車や飛行機などに乗らなければならないことは多くありますが、操縦するドライバが大丈夫か否かを判断する術はありません。一応マニュアルに従って対応するとはいうものの、完璧なことなど無いはず。

 やはり、この問題からもステレオカメラ・ミリ波レーダー・レーザーレンジファインダー・衛星測位システム(GNSS)による、人間の感覚に頼るよりも優秀で、しかも決して裏切らない自動走行システムに頼らざるを得ないのかと今回の事故から強く思います。



5. -コラム-
「“創”という漢字
                                             /青木邦章
 当社もこの2月で設立29年となります。この間、社名や理念に“クリエイション”という文字を掲げ、創造という言葉にこだわり続けてきました。あらためてこの“創”という字源を調べてみると、リットウ部分には“刃+一”の意味があり“一”は刀による傷を表しているとのこと。そのため「作る」以外にも、始める、傷つける、懲りるなどの意味もあるようです。

 確かに創造以外にも、創立・創刊や創傷・絆創膏など他の意味の熟語も存在します。
そういえば、30年以上前に恩師の一人Y社元会長でトヨタ2000GTの開発者でもある長谷川武彦氏が「刀でスパッと切られた傷は、やがてそこから新しい肉が盛り上がってきて、より強靭な体を作るもの。だから向こう傷を恐れずに、果敢にチャレンジするように!」と常々おっしゃっていたことを思い出します。

 振り返ってみると、お調子者の青ちゃんはその言葉を真に受けて、そこから怪しいベンチャーの旅に出てしまったのかもしれません。幸い体に受けた無数の傷も、深手を負うまでには達せずに、こうやってしぶとく生き残っています。やはり創造という行為には常に痛手や挫折が付き物。それをモノともせずに転んでもただでは起きない、そんなふてぶてしさがなければこの怪物と長い付き合いはできないのかもしれません。 

 今年還暦を迎える歳になってしまい、知力も体力も衰え気味ではありますが、もう一度初心に却って次なる創造にチャレンジしたいと思う今日この頃です。
 



6.技術コラム
[技術と教育について]
 近年、日本人が次々と物理・科学分野でノーベル賞を受賞する嬉しいニュースと同時に、子供たちの「理科離れ」という言葉も聞かれるようになりました。モノづくりを仕事にしている我々エンジニアからするとさみしい気持ちになりますが、理科好きな子供に夢と希望を与える会社が北海道の赤平という田舎町にあります。

 植松電機という、従業員20名足らずの小さな会社ですが、そこではなんと本当の宇宙開発を行っているのです。もともとはリサイクル処理用の電磁石を開発・販売している会社でしたが、常務の植松努さんが、幼いころから夢に描いていた宇宙へのあこがれを現実のものとして、世界で3つしかない無重力実験装置や宇宙ロケットを独自に開発し、今ではJAXAやNASAをはじめ世界中の研究開発機関と一緒に仕事をするようにまでなったのです。

 植松さんは言っています。「社会から、『どうせ無理』を無くしたい」
子供のころ、大好きだった宇宙やロケットの事を一生懸命勉強していた時、「お金もかかるしできる訳ない、それにそんな成績じゃどうせ無理だからもっと試験の勉強をしなさい」と言われ、すごく悲しい思いをしたそうです。

 でも、お母さんに言われた「思うは招く」という言葉のとおり心の片隅に思いを持ち続けていた結果、信じられない様な出会いとめぐり合わせもあり今ではロケットの打ち上げまでも実現させました。
 「どうせ無理」という言葉は人の可能性を奪う言葉で、言われ続ける事で興味を持たなくなり、やる前に諦め、考える事をやめてしまう様になってしまいます。

 理科とは、自然現象や宇宙や生命の不思議を解き明かすための勉強であり、誰でも小学校の授業でやった実験や観察にワクワクした記憶を持っているのではないでしょうか。それがいつの間にかテストや進学のための勉強になり、そしてそのテストや進学が何のためのものなのかすら曖昧になり、そのまま大人になってしまうことが理科離れにつながっている様な気がします。そしてそれはもしかすると理科に限らず、人間関係や仕事全般に言える事なのかもしれません。

 学校や家庭での教育は子供たちに大きな影響を与えます。自分の小さな枠の中での価値観を押し付けてしまったり、何気ない一言で子供の可能性を奪ったりしていないか、私たち大人は考えなければいけないと思います。これから新しい技術を開拓していくのは間違いなく、未来に技術者として活躍するかもしれない今の子供達なのですから。







7.やまのひとりごと
 2月といえば、バレンタインデーですね。
甘いものに目がない私には、いろんなメーカのチョコが買える楽しみなイベントの一つでもあります。
 女性が男性に送るのが通常のようですが、男性からいつもお世話になっている女性や男性に渡すのも喜ばれそうですね。私はバレンタインに関係なく、いつでもチョコ大募集中です。