目次
1.製品紹介
2.技術コラム
3.書籍紹介 
4.自動車開発最前線
5.青ちゃんの言いたい放題
6.技術コラム
7.やまのひとりごと









1.製品紹介

【ベアリング単体試験装置】

 供試体ベアリングの耐久試験を目的とした装置です。
任意のラジアル荷重、アキシャル荷重を付加した状態で回転させ荷重を計測しフィードバック制御を行います。

 

2.技術コラム
[経験的発想]
 今年のノーベル賞に、日本人の2人が選ばれています。医学生理学賞の大村氏、物理学賞の梶田氏、共に地道なデータ取りが受賞に結びついた点が共通点です。特に大村氏のコメントでは「難しい理論を組み立てたのではなく、皆で汗をかいての仕事」とのこと。絶え間ない追究心が大きな結果を生み出す原動力との証明ではないかと思います。

 弊社で出荷する装置は制御することが当たり前になっていますので、PID制御の組込みが当然になってきています。世の中の装置を動かしているプロセス制御の90%が、今だにPID制御によるものであると言われています。  

 この万能ツールの発見も、90年前それほど制御理論解析が確立されていない時代に経験的に適用されたものとの事です。ワット蒸気機関の回転数制御に最初適用されたP制御に、IとDの制御を付け加えたようですが、さぞ地道に現象を観察しながらデータ取りを進めたのではないでしょうか。

 さらに20年後になると、PIDパラメータの調整則である限界感度法や過渡応答法が生み出され確立されたようですがこれらの方法も実験的に求められたとの事です。

 これにより、PID制御がプロセス制御全般に普及され大きな貢献となりました。なんと70年まえに発見された方法が、今だ主流であることに経験的発想の重要さを感じます。

 もとが非理論的発想の為、制御コントローラの性能が上がった現代では到達点に不満も感じられます。その為弊社では、制御性の最適化においてオートチューニング出発点のパラメータの選定に限界感度法や過渡応答法を用いています。その後は、コントローラに反復処理実装により、指示値と応答値の2乗誤差面積を計算、パラメータを変えて最小化することで最適パラメータを自動的に算定しています。モデリングの必要のないPID制御は装置最適化の必需品です。






3. 書籍紹介
『2020年の「勝ち組」自動車メーカー』 2015年7月発行  
中西孝樹著 日本経済新聞出版社 
 多くの日本の製造業が低空飛行を続ける中、唯一と言って良いほど元気な自動車メーカ。世界的に見ても現代自動車の燃費ねつ造問題に続き、フォルクスワーゲンの排ガス不正問題を受け、ますます日本にフォローの風が吹いています。おかげさまで当社もその恩恵を受けここ数年まずまずの業績。

 しかし、もう少し長期ビジョンで見通してみると、必ずしも浮かれてばかりはいられない状況です。なぜなら、社会の車に対する価値観が変わりつつあることと、車自体に要求される機能も、メカ中心から電気制御、さらにはソフトへと急激にその技術要素が変化しており、必ずしも日本優位な状況が続かないことにあります。

 本書はそういった状況を著者の深い経験と調査分析によって的確に指摘しながら、5年後の日本メーカの姿を占っています。自動車ビジネスに関与している方、必読の書と言えます。




4. 自動車開発最前線
【Self-Driving Car】【SEGWAY】【Ninebot One】&【WHILL】
 Googleが開発中の自動運転車や、セグウェイなどが気軽に公道を走ることができるサンフランシスコ。テレビの映像で見かけましたが、日本では考えられない光景です。こんな光景を目の当たりにすると新型モビリティ技術で先行するのはやはりアメリカだなと残念ながら確信してしまいます。

 しかし、日本でも自動運転車の実用化が進み、近い将来市販車としてディーラーを賑わすことが現実的になりつつあります。2020年の実用化に向け、自動車メーカ各社からも高速道路自動走行を手始めに、市販車として商品化すると発表されました。

 これに向け警察庁も法律上の課題や公道実験のガイドライン作成について協議する検討委員会を立ち上げ、人為的ミスによる事故防止や渋滞解消に期待が集まっています。今後、事故時の責任の所在を如何にするかなどがクリアになっていけば米国有利の展開も変化していくことでしょう。2020年の東京オリンピックでは、日本製自動運転車が都内を走行するという夢のような情景が見られるかもしれません。

 数十年前から研究し、やっと花が咲いた技術で今、ノーベル賞が取れているとのことだと言いますが、失敗を極度に恐れ無難な成果主義に走り、貪欲に新技術に挑戦できなくなった日本の研究開発者や経営者が多数を占める現在からはノーベル賞は激減すると悲しくも揶揄されています。

 今後、自動車分野でノーベル賞受賞は?是非とも期待したいですね。





5. -コラム-
哲学不在のものづくり」
                                             /青木邦章
 建物免震に続いて輸送機器用防振製品でも不正が発覚した東洋ゴム、姉歯問題をフラッシュバックさせる旭化成建材のデータ偽装。このところ国内外を問わず、この手の事件が巷に溢れかえっています。不正が発覚した際のインパクトは、社の存続を脅かすくらいに大きいにも関わらず、繰り返されるこのような問題。その発生の原因はどこにあるのでしょうか?

 株価上昇や高配当を求め強く圧力をかける機関投資家。厳しい納期と値下げを強いてくる消費者。インターネット環境で、世界中の様々な競争相手との激戦を勝ち抜いていかなければいけないプレッシャーの中、つい目先の誘惑に負けてその場しのぎの行動を取ってしまうのかもしれません。

 それにしても、東芝の粉飾決算も含めて、いずれも名だたる大企業で行われる組織ぐるみ?の不正。病巣は深く、場当たり的な解決策では根絶できそうもありません。よくよく掘り下げていくと、そこにあるのは倫理観の欠如、ものづくり哲学の不在といった根源的な問題にたどり着くように感じます。

 本来、人間は創意工夫をして何かしら新しいものを創り出すことに喜びを感じるもの。そして、それを他人が使い、きちんと評価してくれることに自らの存在意義を見出すもの。そんな当り前のことが忘れ去られて、ただ単に収益第一主義に陥っていることに問題があるのではないでしょうか?

 もちろん、事業を継続発展させていくためには収益の確保も大事。しかし、目的と手段が逆転してしまっては、元も子もありません。

 本来のものづくりに対する純粋な気持ちを呼び戻して、人の喜びに応えることを第一に考える。そんな初心に戻ることが大切なことなのかもしれません。




6.技術コラム
[はめあい]
 機械設計の基本のひとつに「はめあい」という言葉がありますが、これは組み合わされる一対の部品相互の寸法の関係性を表すもので、簡単に言うと穴に軸を入れるときに、穴の寸法と軸の寸法をどの様に設計(製作)するか、というものです。

 この場合、穴と軸が相互に動くのか、固定されるのか、トルクを伝えるのか、などの設計条件によりはめあい寸法を決めるのですが、場合によっては軸径を穴径よりも大きく設計することもあります。それでは穴に入らないではないか、ということになりますが、組み立てるときに穴の方の部品を温めてやれば、熱膨張により穴が広がって軸径よりも穴径が大きくなるために組み立てる事ができます。組み立てた後、常温に戻った時には穴が小さくなって軸にきつくはまり込み、しっかりと固定された状態となります。

 この様な組立方法を「焼きばめ」公差を「しまりばめ」といいます。「しまりばめ」の他にも「すきまばめ」や「中間ばめ」などの公差ランクがあり、部品図の寸法の後につく「H7」「js6」などの記号で管理しているのですが、やたらと厳しい公差を入れると加工コストが上がりますし、必要以上に厳しいはめあいにすると、組立や分解が大変で扱いにくい機械になってしまいます。

 また、寸法公差は「0~+0.015mm」といった具合にある程度の幅を持たせて図面指示するのですが、実際にはこの幅の中で、穴は小さめに、軸は大きめに、それぞれ仕上がってくるケースが多いのです。これは加工者の心理として、削り過ぎていわゆる「オシャカ」になる事を避け、後から修正できる様に削り代を残して仕上げていくためです。

 ベテランの設計者は単に機能だけではなく、この様なコスト、組立性、加工者のクセなども場合によっては考慮して、寸法を決めているのです。






7.やまのひとりごと
 通勤で利用する道沿いにコスモスが咲きはじめました。

 並んで風に揺れている白やピンクの綺麗なコスモスを見ていると、気持ちがほっこりしますね。冬に向かって寒くなる毎日ですが、紙面(HP)が明るくなるよう、コスモスのイラストをタイトルロゴに入れてみました。皆さんの会社や家の周りにも、コスモスが咲いているところはありますか?たまには足を止めて、眺めてみてはいかがでしょうか。