目次
1.製品紹介
2.技術コラム
3.書籍紹介 
4.EV・HEV開発最前線
5.青ちゃんの言いたい放題
6.技術コラム
7.やまのひとりごと








1.製品紹介

[オルタネータ性能試験装置]

製品紹介
オルタネータの性能を測定する装置です。
入力された運転パターンでオルタネータをモータ駆動、オルタネータ
の出力特性測定、負荷トルク測定。
内部温度分布測定、充放電収支測定に対応することができます。

計測項目
 ・オルタ電流値
 ・電圧値
 ・トルク値
 ・回転数
 ・バッテリ電流
 ・電圧等

装置構成
 ・オルタネータ取付治具
 ・駆動モータ
 ・トルク計
 ・温度恒温槽
 ・電子負荷装置
 ・バッテリ

装置イメージ



測定

 出力特性測定   ご相談
 トルク特性測定   ご相談
 効率特性測定   ご相談
 充放電収支測定   ご相談
 効率マップ測定   ご相談

*上記仕様以外にも各種オプション、特注仕様にも対応致します。まずはご相談下さい。



2.技術コラム 

『論理的思考と対義語意識』

 一時期、ロジカルシンキングがブームとなりベストセラーに名を連ねていたのですが、最近はやや下火になってきたようです。
 装置作りに毎日を送る我々技術者にとって、ロジカルシンキングは日常の習慣。設計するのに直感的(⇔論理的)に進めていれば、後になってツケが廻ってきて大変なことになります。装置検証時も同様で、物理的現象を装置で捉えようとしていますので、論理的に考えないと結論が見えてきません。

 先日測定値の繰返性をお客様と議論している時のことです。外乱を与えながら、その有無で繰返性を保証する事、との要求が出されました。同様な実証を重ねている当方にとって、繰返性が証明できたのは明白であるのに、満足してはもらえません。その理由は、同時に測定されてなく、絶対的数値が違うので認められないとの事。説得は試みたものの、結局は再度、同時にデータを取り直して証明、納得いただいたものです。

 ロジカルシンキング本を総覧すると、筋道を立てて順番に考えていく事に主眼を置いているビジネス書が多いようです。でも、現実的には対義語意識を持つことが必要。つまり、上述の様な場合、繰返性が無いのであれば、測定値はどうあるべきはずだ、と言った発想です。演繹的に推論するのでなく、否定的帰納法発想を持って臨むと、結論が見える時が多いようです。

 対義語を並べると、論理的思考が養われます。
理論と実践、原理と応用、理性と感情、危険と安全、
実験と観察、演習と実戦、創造と模倣、現象と仮想、
実験と推論、実験物理学と理論物理学または仮説、
理想と現実、目的と手段、明示と暗示、直感と推論、
主観と客観、仮説と定説、原理と応用、原則と例外、
原因と結果、論理的と直感的、演繹法と帰納法

 理論を証明する為に実践し、また実践を積み重ねることによって、新たな理論が生まれる。ところで、模擬(シミュレーション)の対義語は、やはり実践??

3. 書籍紹介
『くまのプーさん 小さなしあわせに気づく言葉』
 PHP研究所 編・著 2011年9月 PHP研究所


 今回は変り種の書籍を紹介します。

副題に“「菜根譚」が教えてくれる人生で大切なこと”とあるように、中国・民時代の洪自誠の随筆を元にしています。それに英訳がついており、さらにはディズニーキャラクター・くまのプーさんのイラストが全ページに挿しこまれている不思議な小冊子。
出版社の性格からすると、子供向けの本ではないはず。また、単なる英語の学習書でもないはず。おそらく、疲れ果てた企業戦士(男女)に、ふっとした癒しのひと時を提供しようとしているのかもしれません。

身構えずにぱらぱらとめくっていると気持ちが安らぎます。また、英語ではこういった言い回しをするのか!などと、新たな発見をすることもあります。
4. EV・HEV開発最前線
「走行駆動用モータの試験とその技術-2」

    今回は損失について紹介します。
モータの損失は銅損・鉄損・機械損に大別できます。
①銅 損:コイルの巻線抵抗に起因、電流の2乗に比例し熱エネルギーロスとなる。
②鉄 損:コイルの鉄心に起因、ヒステリシス損+渦電流損で熱エネルギーロスとなる。
     磁化された鉄心の磁界変化で発生、ゆえに対策としてヒステリシス損の少ない
     材料が必要。
     また、電磁誘導作用による渦電流からの熱エネルギーロスとなるため軟磁材
     およびケイ素鋼板などを使用する。
③機械損:ロータ回転により発生する摩擦損失であり、主にロータ軸受における
     熱エネルギーロスとなる。

最近のモータ開発では、PMモータなど同期モータによる高効率モータ開発が著しく、チャイナリスクも考慮した脱レアアース化も開発を後押ししています。

5. -コラム-    

「デシジョンメイキングとコンセプトメイキング」
                    
/青木邦章

 
  またまた横文字で恐縮ですが、今回は決断・決定についてお話します。
 デシジョンメイキング、日本語で「意思決定」、一方コンセプトメイキングはなかなかピタッときませんが、「企画立案」「概念設計」とでも訳せばよいのでしょうか?

 四半世紀前に会社勤めから独立創業した際、もっとも悩んだことは意思決定の多さと難しさでした。
 会社勤め時代もそれなりに予算執行やプロジェクトの遂行決定をしたかもしれませんが、所詮、業務フローの中で上司の承認を得て進めればよいこと。

金額の大小はともかくとして、最終決断の重さは比べ物になりません。ましてや中小企業の場合、全て個人保証が原則。サラリーマンに比べるとつらいものがあります。
 しかしながら、そんな意思決定も長年やっていると、慣れてくるもの。通常の範囲内であれば、それほど苦しまずに即断即決できるようになるので不思議です。

 意思決定というものは、どちらかというと直接的・具体的な決定手続き。投げられてきた球を打ち返す受身型であり、考えられる複数の選択肢から一つを選べばよい作業なので、判断基準・決断論理さえできてしまえば、それほど間違えずにこなせます。

 一方、それに対してコンセプトメイキングはなかなか大変な作業です。
どちらへ進めばよいのかの戦略そのものの立案。全方位の中から、あるべき姿を見出して、そちらに向かってみんなで踏み出すための、間接的・抽象的な道しるべ作り。対象の捉え方により異なる結論が出ることも、価値観の違いによりまったく逆の方向になることもままあるものです。企業コンセプト・事業コンセプト・商品コンセプトなど、いろいろなものがあると思いますが、いずれもその内容次第で全体の命運を決定づける最重要事項。

 そもそもそういったコンセプトの必要性さえ認識していない方も多いのではないでしょうか?かく言う青ちゃんも長年社長業をこなしていたものの、最近になってようやくその重要性を認識した次第です。

6.技術コラム
「材料について 『鉄』」


 機械の構成部品の材料で最も多く使われるのが金属、一般的に「鉄」と呼ばれるものですが、その鉄にも実に様々な種類があり、設計段階でそれぞれの部品の用途に適した種類を選択しています。

 機械設計者が「鉄」といった場合に指すのは鉄鋼という鉄(Fe)元素を主成分とした合金で、その他に含まれる、炭素(カーボン:C)・けい素(シリコン:Si)・マンガン(Mn)・りん(P)・硫黄(S)の5つを鉄鋼中の5元素といいます。SやMnは鋼中の有害物質の除去を目的として製鋼中に添加される有益元素、PとSは鉄鋼をもろくさせたりする有害元素ですが、最も重要なのが鉄鋼材料の硬さやじん性、焼き入れ性に大きく影響するC(炭素)であり、このCの含有量が鉄鋼材料を分類する基本となります。

 ここで「じん性(靱性)」という言葉が出てきましたが、これは「ねばさ」ともいわれる材料の粘り強さを表す言葉です。鉄の粘り強さといってもピンとこないかもしれませんが、割れにくさ、と言っても良いかもしれません。材料の硬さを表す硬度とはまったく違う性質で、多くの場合、硬度とじん性は相反する性質を持っています。例えばダイヤモンドは非常に硬いですがじん性は低く、ハンマーで衝撃を与えれば簡単に割れてしまうこともあります。つまり、なんでも硬ければ強い、という訳ではないのです。機動隊の盾が硬いガラスではなくポリカーボネートというプラスチックの一種でできているのもこういう訳です。

 機械を構成する部品も、その役割に応じて、耐摩耗性が必要なのか、曲げに対する強度が必要なのか、衝撃に耐えなければいけないのか、その都度よく考えた上で材料を選定しますが、材料の選定と同時に考えるのが、「焼きを入れるか」という難題です。刀鍛冶が真っ赤に熱した刀をカンカン叩くあれですが、ここで前述の鉄鋼の中に含まれる炭素(カーボン:C)が活躍する事になります。

次回、この焼き入れについてお話ししたいと思います。

7.やまのひとりごと

 最近めっきり冷え込んできましたね。やまの家では早速ストーブを出しました。
 ストーブの天板にヤカンを置いてお湯を沸かしているのですが、湯たんぽを作ったり、お茶を淹れたりなかなか使い勝手がいいです。
 先日はおでんの鍋をストーブに置いて、家にいながら屋台のような風情の夕飯を楽しみました。