目次
1.展示会出典報告
2.技術コラム
3.書籍紹介 
4.ビジネスマナーの猫
5.青ちゃんの言いたい放題
6.技術コラム
7.鳩豆のひとりごと




1.展示会出典報告


に出展いたしました。

 先日、パシフィコ横浜で開催された“人とくるまのテクノロジー展2011”に出展いたしました。

 弊社展示ブースへ多くの方にお立ち寄り頂き、誠にありがとうございました。当日のご説明では、行き届かない点もあったかと存じます。ご案内不足の点、資料請求などはお気軽にお問合せ頂ければ幸いです。

 会期中、「新製品・新技術紹介コーナ」にて弊社鳥居が行いました講演、「EV・HEVモータ・ジェネレータ開発試験システムについて」の一部をご紹介させていただきます。

<EV・HEVモータ・ジェネレータ開発試験システムについて>

 最近のEV・HEV市場動向予測(矢野経済研究所市場展望2011)によると、2015年には、EV・HEV市場規模は世界新車販売台数の4~5%になると予測され、それに伴いモータ・ジェネレータ試験システムの需要は、高いレベルで推移すると考えられる。特にバッテリーからの直流電力を交流電力に交換する為のインバータ規模は、EV・HEVの市場投入規模に比例し顕著に推移するとされている。


開発試験環境
 
 開発実験室内における台上試験にて、より緻密にあらゆる運転操作状況を再現し、細部にわたり実車部品のデータを取得解析し、製品開発にフィードバックできる試験装置の提供が求められている。

 しかし、現状を鑑みると研究開発の試験ツール全体としては、必要に応じてその都度開発されているのがほとんどであり、試験システム全体が統括されているとは言えない。

 EV・HEV用モータジェネレータに要求された高速化(15000~20000rpm又はそれ以上)および力行/回生電圧の高圧化・実現の為の試験装置の開発の課題としてIGBT/IPMなどパワーモジュールの開発が必須であり、発熱対策としては、場合によってはAC1200Vレベルへのニーズの高まりも活発化してくると思われるが、高圧化に伴う絶縁性能やノイズ問題などの対策が重要課題となる。

 モータおよびインバータ評価に用いる負荷装置に電子負荷装置が採用されている。
これらは、R-L負荷やダイオード整流負荷を電力変換器により模擬する装置である。さらに最近、電子負荷装置を模擬モータとして制御することで、モータシミュレータを実現する動きがある。

 この装置は電動機のパラメータや負荷条件を自由に設定でき、通常状態の負荷を模擬できるようだ。これにより、実際のモータ・インバータの評価試験が行えるため評価時間の短縮ひいては開発期間の短縮が図られる。

 加えて、電動機模擬試験では、回生コンバータを付加することで系統回生され省エネが可能となる。自動車の省エネ(低燃費化)に伴うキーワードは、小型・軽量・メカロス・トライポロジ・電力有効活用・系統回生・高電圧・低ノイズ・絶縁性能・高リダクション効率・高力率などが挙げることができる。どれも今後さらに重要度が増すと思われる。

 



2.技術コラム 

「装置の最適化」


 装置設計製作を生業とする弊社にとって、最善の努力で最良の装置を納品することが大きな目標となります。

 ところが、納めた装置についてお客様がどのように感じるかは様々です。事前に製作仕様書を取り交した上での装置納入にも関わらず、検収が遅れてしまう事も多く、原因を探るのも一仕事となります。

 そんな時、ふと物理学での最適化問題よろしく、設計やソフトロジックが簡単にモデル化され、エネルギー最小化ができればどんなに楽なことか、と感じることもしばしばあります。

 ところが設計やロジックに便利な適合化ツールの実現については夢の先であるものの、身近には最適化手法が確立されている分野も多くあります。

 たとえばCAE解析。初期のころは、シミュレーションで良い結果を得たいが為に、オペレータは「パラメータ入力⇒解析⇒結果考察判定」の煩雑なループを繰り返していました。

 今はと言えば、Isightの登場で繰返最適化を自動化でき、条件入力がうまくいけば品質の高い解析が可能となっています。

 

 また、ECU適合化支援としても、適合試験計画ツールDOE PlannerとORANGEの組合せで、実験計画的にECUマップを作成する仕組みを備えています。

 
弊社の提供するモータリング装置に使われているモータのオートチューニングも一種の最適化ツールと言うことができます。

 モータの制御ロジックが持つ各パラメータを、ボタン一つで最適化し、その後、装置はトルク負荷変動にも応じたスムーズな駆動を実現してくれています。

 ただ、じゃじゃ馬感は拭えず、下手に小細工しながらチューニングをすると無限ループに陥ることもあるのが難点です。

 このように見渡すと、便利ツールのない弊社の扱う装置の最適化には、実直に製造仕様書の要件抽出に集中するしかない、と肝に銘じるところです。



3. 書籍紹介


『停電の夜に』 

ジュンパ・ラヒリ著 小川高義訳 新潮文庫 2000年発行


 
 梅雨の6月、雨ばっかりで嫌になってしまう。

 洗濯物は乾かないし、そろそろコインランドリーに行って乾燥機にかけなくては!という時は、本書『停電の夜に』をお供にしてみて下さい。インド系の女性作家(とても美人)の短編集です。

 コインランドリーという、少しだけ非日常な場所では、母国インドと移住先の文化の狭間に暮す主人公達にそっと感情移入ができてしまいます。

 先日、少し大きめの本屋さんで原書『interpreter of maladies』が売られているのを見かけました。TOEIC600点、英検準2級~2級ぐらいのレベルだそうです。


 

 



4. ビジネスマナーの猫

「トリプルWIN」

 Customer Satisfaction 顧客満足度という言葉があります。お客様の声を聞き、質の高い商品・サービスの提供を目指し、お客様の満足度を向上させるために企業は日々努力を続けています。

 その一方でEmployee Satisfaction 従業員満足度という言葉もあります。従業員が自身の働く職場、業務内容、待遇などにどの程度満足しているかの度合いのことを言います。

 最近の調査で、顧客満足度の高い企業は、従業員満足度も高いということがわかってきました。それらの企業に共通しているのは、顧客だけでなく従業員からの意見も吸い上げ、双方の声を活かして、業務改善しているということです。

 ビジネスでは顧客対企業のWIN、WINの関係がベストといいますが、これからは顧客と企業だけではなく、その企業で働く従業員のトリプルWINとでも表現するのでしょうか。

 震災の影響で、節電のための稼動日の変更や、企業単位での省エネ対策が行われるなど、企業のあり方やそこで働く人達の勤務形態も大きく変化してきています。異なる立場の多くの人の意見を聞きながら、全ての立場の人にとってより良い方向への変化となるように自らが行動していきたいと思います。

 



5. -コラム-     



「自動車維新」
   
                    
青木邦章



 今年も横浜で3日間、立ちん坊の日々。歳のせいか足腰にだいぶ堪えます。「人とくるまのテクノロジー展」出展も常連になってきました。

 ここ数年、展示会の雰囲気がだいぶ変わってきていますが、特に今年はそれが顕著。第一に、外国人来場者が極端に減っていたこと。これは今年に限ってですが、大地震・原発事故のダブルパンチでやむを得ないでしょう。

  第二に、出展社数の減少と、各ブースの展示に気合が感じられないこと。リーマン以降、業界全体に元気がありませんが、特に今年はそれが一層強く表れています。

 大物展示物が年々減少して、パネル・デジタル・バーチャル・小物中心の展示。自動車技術展としては、もう少し質量感があり、パワフルで、動きがあってほしいもの。

 日本においては、自動車産業は夕暮れ時を迎えつつあるのでしょうか?

 そして、第三に、EV/HEV一辺倒の流れ。当社も乗り遅れまいと、同様の展示に注力していますが、機械工学畑出身の青ちゃんとしては、ちょっぴり寂しい気持ちがします。

 化石燃料の枯渇・環境汚染問題・パワエレ技術の急激な進歩・カスタマーの自動車に対する思いの変化・各国政府の思惑など、さまざまな要素が絡み合い、一気に電動化が加速されています。

 輸送機器業界に身をおいて、はや35年。排ガス対策・ターボ化推進・セラミック材料革命・安全対応強化・電子制御化など、さまざまなエポックを肌で感じてきましたが、今回はそのどれとも異なる大きな時代のうねり。

 蒸気機関から内燃機関への変化に匹敵する大革命、自動車維新が今まさに始まろうとしています。

 もしかするとエンジニア人生の最終コーナーで、そういった大ステージに巡りあわせるということは、幸せなことかもしれませんね。









6.技術コラム


安全設計について
 
 東日本大震災において、福島原発の事故が世界的な問題となっています。事故が起こってしまえば、その対策をどの様に行うべきだったのかが明確になるのは当然のことですが、将来的に起こりうる事故を未然に防ぐ、または事故が起こっても被害を最小限に留めるような設計をすることは原発に限らずどの分野の設計業務においても重要なことです。

 とはいえ、(原発の設計者を擁護する訳ではありませんが)未来に起こる出来事についてどこまでを想定し、どのような安全対策を設けるのかということは非常に難しい判断であり、更に言えばコストや納期を無視して安全第一、とはいかないのが現実です。

 しかし、そこで安易に都合の良い想定で線引きをしたり、利益重視で安全を軽視したりすることは絶対にあってはならない事であり、原発設計の安全基準もそれを定めた経緯・根拠を明確にし、今後の教訓として生かさなければならないと思います。

 原発の設計基準は公開されておりネット上でも見ることができますが、「○○の状態においても」・「△△%の余裕があり」、という記述が多く見られるものの、その設定の根拠や判断基準については明確になっているとは言えません。

 弊社で製作・納入した装置も一部被害を受け、その点検や復旧作業が始まっていますが、その被害状況を見ると自然災害の威力にはただ驚くばかりです。我々も単に修理するだけではなく、状態をよく分析した上で社内の安全基準・設計基準を見直していく必要があると痛感しております。


   



7.鳩豆 のひとりごと

 5/18~5/20にパシフィコ横浜にて行われました、“人とくるまのテクノロジー展2011”に出展いたしました。

 お忙しい中、展示ブース、講演に来て下さいました皆様、ありがとうございました。

 初日には弊社鳥居の講演「EV・HEVモータ・ジェネレータ開発試験システムについて」もあり、充実した3日間でした。
 
<全体来場者数>
5/18(水) 13,069名
5/19(木) 18,779名
5/20(金) 20,460名

合計 52,308名