自動車産業100年に1度の大変革期を迎え、また米国の関税障壁強化や世界的な原材料高騰問題を契機とする収益性悪化を抱えて、自動車業界各社は先の見えない不安から開発投資に消極的になってきているようにも見受けられます。さらに開発の対象領域も、パワートレインのメカトロ機構から制御ソフトや電池材料などの機械要素以外に変化しているため、従来型の実験評価に対する予算付けは非常に厳しい状況となっています。

 一方、だからと言って機能・性能・耐久評価をおこなわなくてよいわけではなく、ここ数年に各社で発生した型式指定にまつわる不正認証問題なども絡み、トレーサビリティを厳格化する動きは強まり、品質保証に対する要求は以前にもまして強固になってきています。また、動力源が内燃機関からEV・FCVなど電動モータ系に移行するに際し、動力伝達機構各部の高回転化が進み、新たな評価確認項目も増加傾向にあります。

 結果として、やらなければいけない評価試験や試験領域は多岐にわたり拡大傾向にあるのにもかかわらず、「人も予算も十分でない」、そんな状況が今後も続いていくと予想されます。
そこで、このジレンマを解消する切り札となるのが「レトロフィット」、新規に開発試験機を導入するのではなく、既設の試験機を部分改修することにより、特定分野に限定して性能向上させるという代替案です。




 

 Retroactive Refitが語源とされ、建設・工作機械・試験機業界などで広く使用されている技術用語であり、既存設備を改良・修理し、機能・性能を向上させ有効活用することを指します。

 一般的な単なる修理とは異なり、一部分については最新技術を取り入れた機構に改修し、従来不可能だった領域の機能動作まで可能としたり、電子制御機器を最新版に載せ替え、操作やデータ解析面のIT性能を向上させます。






 

➀ 新規に設備導入するよりも、安価で所望の機能向上が実現可能です。
   (既設部分は減価償却が進んでいるため、財務負担が軽減されます。)
➁ 新規増設と異なり、新たに設置スペースを確保する必要がありません。
   (新規建屋や増床の費用が不要です。)
➂ 最新モータ(インバータ)や省エネ機器への入れ替えにより、環境負荷を低減でき、ランニングコスト低減に寄与します。 
   (CO2削減や電力量低減に寄与します。)
➃ 操作・メンテ性などについては従来機種を踏襲することが多いため、作業者にとっては操作学習の負荷が軽減されます。
   (在籍高齢者や初級技能者のストレスを減らせます。)
➄ 過去の実験データとの整合がとりやすく、社内技術蓄積を有効活用できます。
   (新規に技術標準を作成する労力が軽減される可能性があります。)






 

➀ 既設部分の損耗・破損等により、稼働が阻害されるリスクがあります。 ⇒ 不安個所は部品等を同時更新修理する。
➁ 既設部分の交換部品が廃版等で入手困難となる場合があります。    ⇒ 危険個所は同時期にリビルトする。
➂ 既設部分の技術書類(図面・プログラム)が不明確だとメンテしにくい。 ⇒ 完成図書はきちんと管理保管する。














 

➀ 現状の課題(問題点)をまとめ、投資可能予算を明確化する。(必須項目・希望項目などの区別もしっかりと…)
➁ 試験機業者に相談する。(できれば既設装置の製造元が確実。対応不能であれば弊社に相談)
➂ 見積仕様書・見積書を入手し、実施時期等を確定。(既存設備の休止期間を調整)






 

 










 

 用途(機能・性能・耐久)や制約条件(設置環境・予算)等により、最善策を見積検討・提案いたします。

 弊社製作品
 様々なご要望に柔軟に対応可能です。(創業初期からの全装置図面を保管しております。)メカ・制御・油空圧・潤滑・環境機器等、全てにわたり技術マネジメント可能です。

 他社製作品
 設備の機能・構造・使用部品等により対応可否の場合がありますが、まずはお気軽に相談ください。カタログ・仕様書・写真や完成図書(機械図面・回路図・取説等)を貸与いただけると判断が的確となります。