目次
1.製品紹介
2.技術コラム
3.書籍紹介 
4.ブレイクタイム
5.青ちゃんの言いたい放題
6.技術コラム
7.やまのひとりごと









1.製品紹介

供試品をテーブル上に固定し
回転(ヨー)・傾斜(ロール)0~360°の範囲で
回転させることができます。

自動車用燃料タンクおよび衝突試験実施後の信頼性確認などに
有効な試験機です。





2.技術コラム
[微積分]
 微積分といえば、高校数学最大の難関とも言われ苦手意識が芽生えだすと、とことん嫌いになってしまう分野のようです。高校生に聞いてみると、2次関数の頂点を求めるのに公式を覚えるのか微分=0として頂点を導き出すかの違いで微積分に抵抗を持っているかを窺い知ることができます。もっとも、授業では公式を覚えるのが常道な教え方のようですので、一概に好き嫌いを判断できるものでもないのですが。

 弊社で納めている装置は、CSVファイルに従った制御を行うことが多くなってきています。測定された実働波を入力し、その通りに装置を動作させることが要求されます。例えばヨーロッパの石畳を走行する自動車のサスペンションに掛かる荷重振動模擬などでは、実際に取得された波形を周波数分析すると50Hzぐらいまでの周波数成分を持つ正弦波の組合せとなります。
 安直に実働波をそのまま装置に入力すると、実現はほぼ無理なこともあり、分析された基本周波数に高周波成分を重畳させて入力波形を実働波に近づけることも多々あります。その前に装置としての伝達関数を取得して各周波数におけるゲイン補償を行うと、より実働波に近い制御を行うことが可能となります。

 アクチュエータとしてはサーボモータを使うことが多く、制御指示値は変位・速度・トルクとなります。トルクモードでの制御はPID補償を使えば素直に理論どおりに動きます。課題が出てくるのは変位モード。モータアンプも万能ではないので、変位指示値を与えても指令値どおりには動かず、指令値との偏差を持ちながら連続的に動いていくのがその仕組みとなっています。

 結局のところ、現在値を見て不足分を補償値として加味しながら制御を行うのですが、操作指示値として不足パルス分を制御ループ単位で補償することになり、ループ内で必要移動量を指令することの繰返しとなります。つまり、変位指令を送ることは単位時間当たりで変位制御を行っている=指令値微分しつつ連続的に制御を行っていることになります。微積分の考えを持っていると制御も自在に操ることが可能となります




3. 書籍紹介
『近代日本一五〇年 -科学技術総力戦体制の破綻』  
著 岩波新書 2018年1月発行  
 発売直後に売切欠品、さっそく増刷となった話題の書。

 著者は元東大全共闘代表で、その後は予備校講師。大学卒業後、学生運動世代の多くが、日本の急成長に呼応する形で猛烈企業戦士へと転向していった中、未だに反体制を貫いている筋金入りの理論家です。
 そのため、思想的にだいぶ左がかっているきらいはありますが、膨大な資料分析に基づいた論理的展開には、十分な説得力があります。

 政治も経済も、世界情勢全体が混沌としている現在。過去を振り返ってじっくりと世の中を考えるためにも、左派・中道・右派を問わず、一度は読むに値する一冊です。





4.ブレイクタイム
【メロン】
 
 初夏は美味しいフルーツがたくさん出回り始める時期ですね。メロン・マンゴー・さくらんぼ等みずみずしいフルーツが楽しめそうです。
 こちら静岡県遠州地方では、マスクメロンの栽培が盛んです。遠州の温暖な気候と長い日照時間は、メロンにとってとても良い環境だそうです。

 メロンはカリウムを多く含むフルーツで、その含有量はバナナ以上。カリウムにはナトリウム(塩分)を排泄する役割があり、高血圧の予防に効果があるそうです。また、メロンは水分を多く含んでいるためカリウムとの相乗効果で利尿作用が高まり、むくみ解消も期待できます。

 そして、最近お仕事やお出かけ等で特別疲れを感じられるようでしたら、マスクメロンを召しあがってみてはいかがでしょうか。マスクメロンに多く含まれるGABAの効果により「ほっ」とリラックスでき、ストレス軽減・精神安定・不眠緩和などが期待できるそうです。
 芸術作品のように美しい遠州のマスクメロン。上品な香りや味、効果・効能とあわせて味わっていただけたら嬉しいです。



5. -コラム-
「ワイガヤの限界と新しいイノベーションの在り方
                                             /青木邦章
 日本的組織運営の一形態としてワイガヤ(会議)なるものがもてはやされた時期があります。もともとは自動車メーカH社発祥で、企画・改善アイデア創出のため、公式的な会議ではなく、現場サイドでの意見交換や会社を離れた合宿場所でのトコトン議論などを指すようです。
 役職・立場や時間・空間など、いろいろな制約を取り除いた本質的な意見交換の場のため、誰でも自由に意見を出せ、議論が深まり、参加者のモチベーションも上がるとのこと。また、共有認識(コンテクスト)が高まるため、実行段階になった時には迅速に事が運ぶなどのメリットがあると言われています。

 野中郁次郎氏のSECIモデルで言うと、S(共同化)を経て、E(表出化)とC(連結化)に繋がる流れかもしれません。まさに、集団的主観知性や思考共有、日本的知識創造手法と言えそうです。
 しかし、一方、最近ではその弊害も主張され、エポックメーキングな商品開発を阻害している面があるとの意見も…。確かに集団での議論によれば、様々なアイデア創出がなされる反面、寄ってたかって吟味するため、段々にとがった企画が角を落とし丸くなりがちで、没個性の結果に陥ってしまう傾向もあります。
 さらには、場にただよう暗黙の力関係によっては、今はやりの忖度が生まれ、方向性がゆがめられた上に、形は会議決定ゆえ、誰も結果に責任を取らないおかしな状態も生まれます。

 IT機器やSNS、さらにはお家芸の自動車関連でさえも、日本発のヒット商品が生まれにくく、もっぱら米国にお株を奪われている現状。これらが元凶と言えるのかもしれません。世界中がインターネットで複雑かつ密接に絡み合い、また個々に趣味嗜好が多様化して分散拡散型の社会が構成されている、今まさにグローカルニッチ時代。

 やはりイノベーション創出には、過激な個性の存在や、その激しいぶつかり合いが必要なのかも知れません。そして、そのためには個人の知的ポテンシャルを高めるための教育体制確立と、特定個人に責任と権限を集中させた上で、結果にもきちんとコミットメントさせる文化風土の醸成が大切となるように感じます。




6.技術コラム
[技術の進歩と幸せ]
 2017年の国連発表による「幸福度ランキング」において日本は51位。前年の53位よりふたつ順位を上げたものの、G7の中では最下位。先進国の中でも極めて低いポジションにいます。ちなみに上位は第1位がノルウェーで、以下デンマーク、アイスランド、スイス、フィンランドオランダ、カナダ、ニュージーランド、オーストラリア、スウェーデンと北欧の国々が中心になっています。

 このランキング自体はマーケティングリサーチ会社が各国3,000人にアンケートを取り、その主観的幸福度を統計分析した結果とのことです。 
 何を「幸福」として考えるかは人ぞれぞれであり、対象者や分析手法に対する疑問もありますが、それらを差し引いても何かしら考えさせられる結果ではあります。
 幸福度が高い北欧の国々に共通しているのは、社会福祉が充実していることや環境への取り組みが進んでいることから、将来への不安が少ない点ではないかと考えられます。それと比較して日本の幸福度が低いのは、年金問題や少子高齢化、原発による環境問題などにより、将来への不安が大きいという事も理由にあるのではないでしょうか。

 弊社が関わっている自動車業界でも、安全性や利便性に加え、年々環境への取り組みが重要視されるように変化しています。今後ますます「持続可能な社会」へ向けての技術が重要になってくるでしょう。
 今話題となっている働き方改革や原発の放射性廃棄物のニュースの背景にあるのは、収入や便利さよりも、幸せが大切ということに日本の社会全体が気付き始めたということなのかもしれません。

 そうであるとすれば、今後必要とされる技術とは単に高性能な製品を作り上げるためのものだけではなく、将来への不安を軽減し、人々の幸せに寄与できるものであるはずです。
 そしてそのために自分に何ができるのか、技術者ひとりひとりが日々の仕事においても意識していく事が大切ではないかと考えます。

7.やまのひとりごと
 2018年5月23日(水)からの3日間、パシフィコ横浜展示ホールにて開催される「人とくるまのテクノロジー展2018」に出展いたします。
ご希望の方には招待状をお送りいたしますのでweb-info@spacecreation.co.jpまでメールをお送りください。
皆様のご来場をお待ちしております。