目次
1.製品紹介
2.技術コラム
3.書籍紹介 
4.自動車開発最前線
5.青ちゃんの言いたい放題
6.技術コラム
7.やまのひとりごと









1.製品紹介
〈ベアリング摩擦磨耗試験機〉

供試体(ニードルベアリング)を駆動シャフトに配置しコンタミ(異物)を混入させた油中で一定条件下で駆動させ
その際の磨耗・トルク変化の計測、耐久試験を行う装置です。

同一機構×3連の構成。各供試体は独立して
計測・耐久試験を行うことが出来ます。


 




2.技術コラム
[発想力]
 エンジニアをスペシャリストとして育てるか、それともジェネラリストであるべきか。昔から繰り返され、寄ったり離れたりで、技術トレンドを反映する物差しとも言えます。大企業に籍を置く技術者では、その数の多さもあり概してスペシャリストとなる傾向にあるかと思います。一方、弊社のような規模の会社では、ジェネラリストであるほうが装置全体を見渡した設計ができて、手離れも良くなる傾向にあります。
 今回、最多のメダルを獲得したリオオリンピック。その底辺を支えた一つには、味の素トレーニングセンターの存在があります。スペシャリストな選手を育て上げたのは、これもスペシャリストなトレーナーの努力。そして、彼らを管理して適切に配置したのはジェネラリストなプランニング。先を見据えた選手育成計画が今回の成果に繋がっていたように感じます。
 弊社が立ち向かうHILSにおけるシミュレーションでも同じ取組が必要です。専門的な追究が先行して、シミュレーションの結果を実機に近づけようと数値的な一致ばかりに囚われると、模擬の方向性を見失ってしまいます。絶対値を実機に近づけるのではなく、相対的な変動で有効な方策を見出す。適合パラメータを変えることで、どのような効果が期待できるかを経験的に見出だすことがシミュレーションの肝となります。
 ツールを使いこなして、より正解を得ることに注力する専門的技術がベース。そのスキルを限界的に引出し、正解よりも近似解を得ようとする総合的な判断力が求められています。ラピッドプロトタイプ開発において必須となってきたシミュレーション技術、その成功のカギを握るのは経験的な発想力に行き着きます。
弊社では今、HILシミュレーションにVeriStand(※)を採用。プログラムの完成度よりも、データ取得の再構成を自由に出来ることに注目。自由な発想で模擬が出来る環境の提案を進めています。今までの普遍的なプログラム画面と違いデータ取得の再構成が可能となります。発想力でデータを自在に引出せる良いツールであり、HIL評価の革命となりうるものと考えています。



(※National Instruments社製テストアプリケーション用ソフトウェア)







3. 書籍紹介
『PDCAプロフェッショナル』  
稲田将人著 東洋経済新報社 2016年2月発行  
 ビジネスマンにとって、「ホウレンソウ」とともにポピュラーなこの言葉。以前はデミングサイクル(サークル)などとも呼ばれていましたが、今では直接的なPlan・Do・Check・Actionの頭文字のほうにより親しみを覚えます。
 しかし、それゆえ安易にわかったような気になり、その実何も効果が発揮されていないという現場も多いのではないでしょうか?
 本書は、さまざまな事例を交えながら、実践的かつ効果的なPDCA推進手法を解説しています。あらゆるビジネスシーンにおいて成長の原動力となるこのフレームワーク。あなたももう一度見つめ直してみてはいかがでしょうか?




4. 自動車開発最前線
【電気自動車の進化】
 自動運転の話題はひとまず先月までとし、今月からは排ガスゼロカーである電気自動車に再度スポットを当ててみたいと思います。そもそも電気自動車とはバッテリーカーであり、極めてシンプルな構造です。小さなころ遊園地で乗った、ペダルを踏んでゆっくりと走行するバッテリーカー。子供ながらに、自動車の持つ快適さを満喫できました。
 振動も排気ガスもなく走行できる電気自動車。構成はシンプルにバッテリとモータとギヤの組み合わせですが、元をたどれば19世紀後半から20世紀初めから出現したテクノロジー。しかし、バッテリ性能の壁にぶち当たり、その後進展はみられませんでした。つまり、昔も今も電気自動車の最大の課題はバッテリのようです。
 航続距離が短ければ、常にバッテリ残量を気にしなければならず安心して乗ることができません。この課題解決のため、NAS(ナトリウム硫黄)電池や溶融塩電池などの大規模電力貯蔵向きの電池が思い浮かびますが、高温度管理などが必要で小型化できない点から、自動車に搭載するのは極めて難しいです。
 そこで、モバイル用として開発された小型軽量型で尚且つ充電時間を短くできるという特徴のある、リチウムイオン電池やニッケル水素電池が採用され始めました。これにより、世界的にもEV時代の到来と相成ったのです。
気付いてみると、世界の自動車メーカはこぞってEVカーの市場投入を決めています。このことからも、地域コミュニティ用の手軽に乗れるモビリティとして、無くてはならない存在になりつつあるようです。
 メーカ曰く、「モビリティとは人間を主役として交通を考えること」とのこと。過去の“自動車最前線”に掲載したときには、EVを酷評したきらいがありましたので、少し反省の意も込めて、EVテクノロジーについて今後掘り下げていきたいと思います。




5. -コラム-
病気自慢」
                                             /青木邦章
 青ちゃんも今月で遂に還暦、「赤・チャン」の仲間入り。そこまで年老いたとの認識はありませんが、ご同輩の会話からそれを自覚させられることも多くなりました。同窓会や職場での世間話、また客先での会話にみられる病気自慢。どうして齢を重ねると自分の病状説明で盛り上がるのでしょうか?一説によると自己顕示欲の表れとか。①ミスを許してもらいたい②失敗を見越して予防線を張っておきたい③悲劇の主人公になりたい、などなど、屈折した共感・仲間意識の発露?
 また、海外はわかりませんが、日本の企業文化では年代にかかわらず病気通院を声高にアピールする傾向にあるように感じます。誰も聞いていないのなら黙って休めばよいものを、遅刻・早退・休暇の免罪符、「葵の御紋」としている印象を受けてしまいます。
 そもそも動物は自分の弱点を隠すもの。ハンディを負っていると真っ先に天敵に狙われてしまうため、極力平静を装うのが常。雛をかばうために捕食者の前でわざと手負いを装う親鳥の仕草などは、それを逆手に取った種族保存の高等戦術、感動すら覚えます。
 また、古来の武将では自分の死後三年はその事実を秘匿するよう遺言した信玄、薬草に詳しく健康管理に異常な執着を見せた家康。常に戦いに身を置く者達は、一族栄華のため自身の健全さにこだわり続けます。都合が悪くなると病気を理由に病院に逃げ込む近頃の為政者とは隔絶の感。これも平和な世の中ゆえの現象で、緊急時のシェルターの存在として歓迎するべきことなのかも?
 確かに弱者をかばう社会も美しいですが、病気にかかる背景には自らの健康管理不足もあるはず。また、そういった理由でないと休むことに罪悪感を与えてしまう企業文化は改めるべき。
 ハードワークの後は正々堂々と長期バカンスを取ってリフレッシュし、さらに創造的な業務にチャレンジすることを称賛する。本来ならば、そういった方がより健全発展社会。そのように思うのは、歯医者程度しかお世話になったことのない、頑強な体の持ち主の無理解なのでしょうか?
 



6.技術コラム
[日本の技術者 八田與一]
 日本を代表する技術者、と言えば皆さんは誰を想像するでしょうか?本田宗一郎や松下幸之助、中村修二などの名前を挙げる方が多いようですが、日本よりも台湾で有名な八田與一(はったよいち)という技術者のことをご存じでしょうか。台湾では教科書にも名前が載っており、特に年配の方には広く知られている方で、日本統治時代の台湾において烏山頭ダムという当時東洋一の巨大なダムを建設し、台湾の農業水利事業に大きな貢献をした技術者です。
 1920年から10年余りをかけて完成したこのダムは、当時雨季には洪水、乾季には干ばつ、海からは塩害という利水の問題により農業がほとんど行えなかった嘉南平野を潤し広大な穀倉地帯に生まれ変わらせたのです。
 多くの困難を乗り越えてダムを完成させた八田の素晴らしいところは、単に技術者として優れていただけでは無く、日本人も台湾人も分け隔てなく接し現地の作業者の労働環境に気を配ったり、危険な現場にも自ら足を踏み入れ、先頭に立って指揮をとったり、何よりも台湾の未来を大切に考えていた事だと言われています。
 このことから現地の人々から大変な尊敬を受け、銅像まで建てられました。この銅像はその後の蒋介石政権下で、日本統治時代の建築や顕彰碑などが次々と破壊される中、八田を慕う人々により守り隠され、蒋経国の時代になって再び日の目を見る事になり、今でも命日の5月8日には毎年慰霊祭が行われています。
 当時の台湾には八田の他にも多くの日本人が派遣され、教育や農工業など様々な分野で尽力しましたが、台湾の方たちは今でもそれを忘れていません。東日本大震災の時、この小国から世界でもっとも多い180億円もの義援金が集まり、真っ先に救援隊を送ってくれたことは、こういった歴史が作り上げた深い友好関係によるものではないでしょうか。
 技術者としての前に、人として八田技師の様に志を持ち、持っている技術を何に生かすべきかを真剣に考え、信念を貫き通す姿勢こそが、我々が見習わなければいけないことだと考えます。








7.やまのひとりごと
 まだまだ暑い日が続きますね。
やまが小さな頃(ウン十年前?)には、8月末には日が落ちるのが早くなって
気温も穏やかになり始め秋の気配が漂っていたような気がします。
最近では9月末頃まで暑い日が続きますね。
涼しくなるのが待ち遠しい、やまなのでした。