目次
1.製品紹介
2.技術コラム
3.書籍紹介 
4.自動車開発最前線
5.青ちゃんの言いたい放題
6.技術コラム
7.やまのひとりごと









1.製品紹介
【軸受摩耗試験装置】
本装置は軸受の摩耗耐久試験装置です。
供試軸受のラジアル荷重を片持ち偏荷重負荷させ、回転運転します。

 




2.技術コラム
[基礎力]
 最近は自動車や電化製品を購入しても、マニュアルを熟読し機能を十二分に理解した上で使い始めることがなくなってきているようです。スマホやタブレットなどは、例外なく電子マニュアルが当たり前。本屋には関連する同じような名前の書籍が連なって棚に並んでいます。新しいものを使い始める時の昂揚感も今は昔、物があふれてしまった時代の反映でしょうか。

 プログラムの世界でも同様で過度にオブジェクト指向が進みプログラムレスなソフト環境が浸透してしまった為、結果オーライの成果物であふれてしまっています。限られた時間の中で開発を進め、出口戦略で製品を送り出すことが至上となり、ひとつひとつの機能原理を理解する暇も無く、次のプロジェクトに進んでしまっている開発の現状に疑問を感じます。

 これで良いのかと思っていた矢先、大隅教授のノーベル賞受賞のニュース。そのコメントの中で実用化ばかりを重視する技術の風潮に警鐘を鳴らしています。「若者たちは、知的好奇心を持ち地道な基礎研究を続けなくてはならぬ」との発言に、現場の共感を覚えました。技術開発にイノベーションを与えるのは、基礎となる研究の下積みがあってこそ。基礎と応用とのバランスをとり続けないと、日本にノーベル賞受賞の未来はないとのこと。
基礎力の養成こそが未来を作る原動力となり得る。今の日本の利益至上主義への忠告と言えます。

 マニュアルを軽視して機器を使いこなしても、次に使う頃には全く忘れてしまっており、一からやり直すことのほうが多いのも事実。急がば回れ、一旦機能を理解し尽くせば、次に問題が出てきた時に間接的に解決のアイデアが浮かんでくることは良く感じることです。さらに、広範に基礎的な理解を積んでおくと、要求仕様からの設計や、最適化も違う次元での結果が得られることもあり、実りは多いものです。




3. 書籍紹介
『入社10年分の思考スキルが3時間で学べる』  
斉藤広達著 日経BP社 2016年9月発行  
 科学技術も、経済状況も、ビジネススタイルも、日々激変していく現代社会。その流れについていくだけでも一苦労。多くのエンジニアたちは、先端技術の修得にはそれなりに熱心ですが、一般的なビジネススキルの獲得には少し疎い面があります。そのため、実際のビジネスシーンでは損をしていることも多々あるのではないでしょうか?

 本書は、そんなあなたに最適なノウハウ本。
イノベーション・ビジネスモデル・事業戦略・マーケティングなどに対する基本的な思考方法を、広く浅く解説しています。内容に深みは全くありませんが、関連知識や流行のビジネス用語だけでも押えておきたい人にはお手軽な一冊です。興味のある方はこういった書籍を入口に、経営学の領域に深く踏み込んでいくのも一つの方法かもしれません。




4. 自動車開発最前線
【EVのパワートレーン】

 EVはどこに特長を見出すのか?やはり、航続距離でしょうか?
 EVパワートレーンの技術開発はこれまで、クリーンで優しく、老若男女、運転の上手下手などに関係なく、また障害をお持ちの方々も問題なくドライブできるという使い勝手重視の開発路線と、もう一方でパワーEV開発時代突入への兆候と思えるような発表がありました。この二極化は、ひたすら限界に挑戦し頂点を極めて一大センセーションを巻き起こすということが、業界イニシアチブを獲得する重要な手段であると各メーカが考えているからではないでしょうか。 

 EVの基本的特長として、内燃機関のようにスロットルを開いてから吸気-圧縮-膨張-排気の工程間のデッドタイムが殆んど無いことが挙げられます。トルク指令を与えてからモータに電流が流れる僅かな時間だけです。電流は電磁波速度(※1)であり、パワエレ素子(IGBT(※2)/IPM(※3))も超高速スイッチングで、内燃機関のようなメカ式とは比べようもありません。IPMモータ(※4)のステータコイル(※5)に高い周波数と高い電流を流せるかが成功の鍵となりますが、そのとてつもないモータが完成しつつあるのでしょうか? 

 技術の頂点を極めるというのは一朝一夕にはいかない話であり、基本原理原則にプラスして、ユニークな発想とクレイジーなまでの情熱が必要なのでしょう。 
 今後、EVは小型で日常使用向けの車ではなく、夢を実現させる自動車になるのかもしれません。 

国産EVスーパーカー GLM-G4
最高出力はなんと400kW


出典:GLM株式会社 GLM-G4公式ウェブサイトより
http://glm-g4.com/




(※1)電磁波速度:電線内電流伝搬は極めて高速である(真空ではないので光ほどではないが)
(※2)IGBT:パワーデバイス(※3)IPM:インテリジェントパワーモジュール(自己診断機能付)
(※4)IPMモータ:Interior Permanent Magnet (回転子に強力な永久磁石を埋め込んだ同期モータ)
(※5)ステータコイル:固定子巻線(巻線方法が革新的)




5. -コラム-
ムクドリたちの楽園」
                                             /青木邦章
 最近、街中でムクドリの群れが増殖しているようです。(カラスについては、もっと以前から同様の状況ではありますが…。)当地浜松でも、また仕事で訪れる広島や宇都宮などでも、夕暮れになると駅周辺の街路樹に数百羽の鳥が群れ、集団で飛び回っています。そのため辺りの歩道はフンで白く汚れ、けたたましい騒音のせいで周辺住民の嫌われ者となっています。

 ムクドリは田畑の害虫を食べ農作物を守ってくれると、かつては益鳥の扱いだったようですが最近では農業形態の変化でその必要性も薄れてきたのか、迷惑だけが浮き彫りにされて害鳥として扱われるほうが多いようです。古くから人との関わりも深く、詩歌や民衆の話題に多く登場する鳥ですが、都市部は天敵の猛禽類が少なく、農薬に汚染されていない木の実や虫が入手しやすいということもあるのか、ますます増えていきそうです。
 人間による生存環境の破壊や変更に巧みに対応するたくましさ。考えさせられることも多くあります。
人間の営みにより、他の動植物の多くが減少傾向にある中で、ただ人間だけが急激に増殖していく異常な地球。果たして人間中心で事を進め人間の判断で善悪(益害)を決めつけて良いものなのか?このところ、人間の居住地に頻出する鹿・熊・猪・猿などの行動、もしかしたら人間社会への抗議・警鐘なのかもしれません。

 アイヌ・インディアン・インディオ・アボリジニなどと、その土地ごとに種々な名前で呼ばれる先住民族達に共通する長い歴史文化・生活の知恵。自然と共存しながら、大地の恵みに感謝しつつ、謙虚に質素に慎ましく生きる。われわれ現代人もそれらに眼を向けて、根本から考え直す必要があるのかもしれません。




6.技術コラム
[ハーべスティング技術]
 「ハーベスティング技術」という言葉をご存じでしょうか。これは近年注目されている技術で、人が歩く時の床振動、車が走る時の路面振動、工場の騒音や廃熱、人の体温など、こういった捨てられている微小なエネルギーを収穫(ハーベスト)して電力に変換する技術のことです。

 既に、環境中にあるテレビやラジオなどの電波から電力を回収し、バッテリー無しでデバイス間通信する技術や、小容量ながら周囲の振動を利用して発電する発電機、服の形に作って着る事で体温を集め、その熱で発電し携帯電話を使用できるウェアラブル熱電素子などの試作開発が行われています。
 その他にも、雨滴の振動を利用して光る傘や、人の尿を化学的に分解してエネルギーを取り出す技術、トイレの流水の力、自動車のタイヤの振動など、世の中に無限にあふれているごく微小なエネルギーを再利用するアイデアがいろいろと試されている様です。

 自動車業界においても前回のコラムで触れたように、投入された燃料に対し、振動・騒音・熱としてロスしているエネルギーがたくさんあります。そして、これらを生かす技術研究が各社で進められています。欧米に対して日本は後塵を拝していると言われるこの分野ですが、日本人が持っている「もったいない」の精神を生かせば、世界をあっと驚かせるような新しい発明が生み出せる気がします。
引き続き、これからの動向に注目していきたいと思います。
 






7.やまのひとりごと
 毎年、夏から秋への衣替えに失敗し、寒い思いをしています。
真夏にしか着ない物、秋口にも着られる物、羽織物などと分けて徐々に入れ替えているのですが…。
何かいいアイデアをお持ちの方は、教えてください。