目次
1.製品紹介
2.技術コラム
3.書籍紹介 
4.自動車開発最前線
5.青ちゃんの言いたい放題
6.技術コラム
7.やまのひとりごと









1.製品紹介
エンジン摩擦測定装置
 自動車用エンジンを一定潤滑条件にてモータリング運転し各回転数(無負荷状態)でのフリクションを測定する装置です。
      
●計測項目                           ●設定項目

●装置構成



2.技術コラム
[補間]
 TVのチャンネル権が無い父親が多くなっていると聞きます。かく言う私も同様、ゴールデンアワーが過ぎるのを待ちながらアニメなどつい一緒に見てしまいます。昔と違って単なる根性物でもなく、見続けると意外にもはまってしまいます。特にスポーツアニメが好調で、続編が製作される作品も多くあるようです。
 いずれも描写が絶妙で、作者自身がかなりの経験者ではないかと想像されるのですが、よくよく見ているとスイングなどのコマ落ち(省略)が多く、見ている本人がかなり補間しながらイメージを作っていることがわかります。

 一緒に見ている子供たちは経験者でもないのでここまでスイングをスムーズに感じていないのではないか?と感じることも多々あります。

 このように、経験が有るか無いかで補間のレベルが違い、感じ方が違うのは何もアニメだけではありません。計測でのデータについても同じことが言えます。集録データを頻繁に分析している人と、経験の浅い人では、同じデータでもまったく違う分析結果を出すことはよくあることです。
 でも真実がひとつであるからには違った結果を出すべきものではありません。ここに注目して分析について個人差を無くすことを数値的に導出したものが数値解析となります。

 数値解析において個人差をなくそうとする手法はたくさんあります。相関係数による直線回帰分析はその入り口にあります。二次、三次など、エクセルでも計算できるので身近なものになり、よくご存知かと思います。
 弊社の製作する装置にはデータを収録保存する機能が必須となってきています。ただ上述のように初歩的な回帰で分析できるデータを分析することは少なく、複雑な回帰や相関の分析が必要となることのほうが多いようです。

 回帰式自体を実装するのは簡単ですが、そのアイデアはすべてお客様の知見によることが多く、良い復習になり勉強させていただいています。




3. 書籍紹介
『「ポッキー」はなぜフランス人に愛されるのか?』 2015年4月発行  
三田村蕗子著 日本実業出版社 
 日本企業の海外進出というと、自動車や家電あるいはプラントなどの重工業がまず頭に浮かびますが、本書はスナック菓子で海外進出している多くの日本企業の話。
 そういえば海外出張の際、現地のコンビニやスーパーを覗いてみると、子供の頃から見慣れた親しみのあるパッケージが現地の文字に変わって数多く並べられているのにびっくりすることがよくあります。異国で親友にばったり出くわすようなうれしさ、つい購入してしまいます。
 その味の多くは日本のオリジナルとは微妙に異なり日本人にはしっくりこないのですが、それはそれとして日本の製品が広く世界中に広がって、しかも他国製品よりも一目でハイクオリティであると認識できるのには「ほっ」とします。
 こういった地元密着型のものづくりにこそ、案外日本人のきめ細かさが本領を発揮するのかも知れません。


4. 自動車開発最前線
「エネルギーの効率化」 
 エネルギーの効率化が叫ばれ、供給源である発電所のあり方が問われています。
原子力必須の考えからの脱却や、代替エネルギー・再生エネルギーなど今まで何気なく捨てていたエネルギーの有効活用などです。太陽光や回生エネルギーなど、今まで費用対効果と投資の妥当性などが明確でなかったものなどに対しても国の補助が充てられるようになり、その採用率は飛躍的に伸びつつあります。

 全世界の電力の約半分がモータで消費されていることから考えても、モータ効率が少し向上しただけで国のエネルギー政策を左右するほどの影響があると考えられます。発電のための石油やLNG確保ができなければ、自国の繁栄はおろか安全まで左右しかねない事態です。そこまで大事なエネルギー分野で、自動車の省エネに対する効果は決して軽んじることはできません。

 IEC規格のロードマップからは、高効率モータのための研究開発に注力される事が予測され、機械損の削減のために可変速インバータドライブを用いることが必須となる模様。
モータコアを構成する電磁鋼板の物性と、製造工法にも工夫を凝らすことで更なる効率アップを図る研究も進んでいます。また、永久磁石の成分などを磁性材料研究としてNEDOなど国の施策として産学挙げて対応している研究開発事業からも目が離せません。弊社がプロデュースした試験システムもその一翼を担っていることは、5月に出展した【人とくるまのテクノロジー展】でも紹介させていただきました。

 世界市場の多くを占めている中国などは、EVの促進と高効率化が最重要テーマとか。そこに欧州・米国、そして日本が技術的に優位に立ちながら市場に最新技術を送り出していくことの重要性は極めて高いと考えます。やはり燃費や電費の向上に向けた取り組みに関する開発には少しの停滞も許されないというのが、今の自動車業界でしょうか。




5. -コラム-
「商工三団体
                                             /青木邦章
少し前、農協改革が新聞紙面を賑わし、中央集権的な農政推進が批判の矢面に立ちました。事情はだいぶ異なりますが、商工業においてもやや似たような経済団体が存在します。都市部の企業を束ねる商工会議所、町村など郡部を中心とした商工会、そして協同組合をとりまとめる中小企業団体中央会(通称、中央会)、これらを総称し商工三団体などとも言われます。

 農協ほど強固な権限や政治力を持ってはおりませんが、①単会⇒県連合会⇒中央といったヒエラルキー構造②建前上は1社1票の民主的平等主義③中央省庁との連携による上意下達的匂いもチラホラ、と、似た側面も多々あります。

 産業界を代表した政策提言、政府の経営支援窓口、セミナーなどの教育支援や保険・金融相談など、多岐にわたる活動をされており、中小企業経営者としては大いに助けられています。しかし、一方でその活動の限界や、存在そのものがグローバル経営や競争戦略とは相いれない部分も多く、だいぶ時代遅れになってきたと言わざるを得ません。この期に及んでも、地域商店街や地場産業振興を基盤とした発想、また地域の大企業を中心軸とする産業構造の擁護、地元名士による社交的意思決定手法などなど。そういった旧来型の経済活動で、果たして企業や地域の発展が期待できるのでしょうか?

 最近、オープンイノベーションなどというキーワードがちらほらと聞こえてきます。既成概念や従来の序列・フローを突き破る柔軟な発想力地域や業界を無視したボーダレスな行動力、そして自ら全責任をとる覚悟で組織を引っ張るリーダーシップ、これからの企業経営にはそういったものが求められているのではないでしょうか?



6.技術コラム
[応力-ひずみ線図]
 モノを小さく軽くすることは技術革新のひとつの指標と言って良いと思いますが、なんでもむやみに軽くできる訳ではありません。例えば自動車の駆動部品やボディは通常運転時だけでなく、急加減速時の強度や衝突時に中の人間を守るための強度を保てるように計算して設計されています。今回はそういった強度計算に関係する、機械設計者にはおなじみの図の話です。

 材料力学を学んだ人であれば必ず知っている下図(※1)を「応力-ひずみ線図」といいます。シンプルな線図ですが工学的には重要な意味を持っていて、一般的な金属材料に力をかけた時、破壊に至るまでにどの様な性質を持っているかをあらわしたものです。具体的には丸い棒状の金属材料の両端をつかみ引っ張っていき、引っ張る力(応力)に対し伸び(ひずみ)がどの様になるのかを示したもので、実試験から求められるデータです。機械設計の際、各部品にかかる力に対し十分な強度を持つ様、このデータをもとに計算して軸の太さや板の厚みなど決めるのです。

 金属も力をかければ変形しますが、ばねの様に力をかけると変形し、やめると元の状態に戻る範囲があります。その限界の力を表すのがAの比例限度となります。ここまでの力であれば材料は弾性変形、つまり力を抜くとばねの様に元の形状(寸法)に戻ります。それを超えると塑性変形域という、力を抜いても元にもどらない領域となります。特徴的なのはCの降伏点を超えたところで、ひずみが増すのに対し力は増加しない領域で、金属中の原子結合状態の変化による現象です。(金属の種類によってはこの降伏点が明確に表れないものもあります。)そして降伏点を超えるとふたたび力の増加とともにひずみは増していき、Dの引張り強さをピークにEの破断点で完全に引張り破壊となります。

 強度計算の際には、基本的には引っ張り強さに対して状況に応じた安全率をかけた計算となります。実際には単純な引張荷重ではなく、複合荷重による複雑な計算となる事も多いのですが、近年では解析ソフトによるコンピュータでの強度解析なども広く利用され、開発スピードや確実性も向上しています。

(※1)



7.やまのひとりごと
 梅雨に入り、太陽がさんさんと輝くような晴れの日が珍しくなってきました。
じめじめした天気が続いては、洗濯物やお布団を干すのも一苦労ですね。
ふかふかの布団にくるまって、グッスリ眠るのが毎日の楽しみの一つでもある私は布団用のクリーナーの導入を検討しています。

後はまめに掃除する「やる気」だけが問題ですね。