目次
1.製品紹介
2.技術コラム
3.書籍紹介 
4.EV・HEV開発最前線
5.青ちゃんの言いたい放題
6.技術コラム
7.やまのひとりごと









1.製品紹介
【潤滑油評価用KRL+ARKL試験装置】


装置外観
【試験内容】

●テーパローラベアリングを用いた試験部に荷重を掛けながら一定速度で回転 
 させ、温度をコントロールしながら規定時間せん断を与える試験

●スラストボールベアリングを用い、規定時間運転した際の油温上昇から省燃
 費性を評価するPV1454-ARKL試験
【装置構成】


【計測項目】


*その他特注仕様、各種オプションにも対応いたします。お気軽にお問い合わせ下さい。



2.技術コラム
[有効数字考]
 最近の報告書を見ていると、社内外を問わず数字の桁数がやたらと多いのが気になります。弊社の装置には必ずセンサが付属、試作品などの動作計測を行っているのでどうしても有効桁については気を使います。計測の画面などに数値を表示させる場合、効率的なスペースで装置の捕らえた現象を表示するのには大体表示桁数として3~5桁ぐらいが適当です。もっとも、報告書の作成にはデータ処理に表計算ソフトを使い、文書ソフトに貼り付けるだけで事足りるので、どうしても桁数にまで気を使っていられないといった事情もあるのかもしれません。

 遡れば、有効数字を学んだのは実験でのこと。長さ、質量、温度などを測定するのに「目盛の10分の1まで読むこと」と習ったはず。長~いメジャーがあって細かく目盛が刻まれていたとしたら、有効桁数はどんどん多くなるのです。

 装置に使うセンサは目盛として測定精度が目安となります。製品の仕様に載っている±0.5%F.S.や±0.15%R.O.といったものです。Full Scale とRated Output の略です。定格トルク出力が200Nmのセンサであれば0.3Nmまでは有効数字として考えても良いことになります。この場合、例えば180.3Nmといった表示は意味がありますが、入力された電圧から表計算ソフトなどで物理係数変換して180.36Nmと表示すると意味のない桁数となります。計測取得値を足し算する時と掛け算する時とでは有効桁数値の取り方が違うことも学習済みの筈です。

 確率論がからむと、途端に有効数字桁数が増えてやたらと長い数値のレポートが発表されたりします。一般的な計測では、現実的には3~5桁が表示する数値として妥当なはず。最近の高校生の物理離れで苦手Q&Aにまでリストされる有効数字処理、一度報告書を書く前に復習してみては如何ですか?



3. 書籍紹介
『幻の「長くつ下のピッピ」』  2014年10月発行  
高畑勲+宮崎駿+小田部羊一著 岩波書店  
 クリスマスから正月にかけて、子供にとっては楽しいイベントが盛りだくさん。今月は趣を異にして、童心に帰り胸躍る楽しい本のご紹介です。
今から40年以上前、まだ若かった著者三人がスウェーデン発の児童文学「長くつ下のピッピ」のアニメ化を企画しました。原作者の許諾が得られず結局はお蔵入りしましたが、当時のスケッチなどを再現させたものが本書。粗削りながら、その後の才能開花を予感させる意欲的で質の高いデザインが満載です。
 グローバル化による新興国の台頭と、ものづくりに要求される質の変化で従来産業における日本の立ち位置がやや不明瞭になってきた今日、新たなクールジャパンの担い手として、アニメをはじめとした新しい文化産業が世界的に注目を集めています。その先陣を切った彼らの取組をトレースすることにより、何かイノベーションのヒントが得られるかもしれません。


4. EV・HEV開発最前線
「未来の自動車“MIRAI”が現実に 」 
 12月11、12日と開催された人とくるまのテクノロジー展2014名古屋にて、TOYOTAのMIRAIが披露されました。

 話題の世界初FCV次世代車ということと、展示会翌週の15日に発売ということも重なり会場には黒山の人だかりができていました。特に注目すべき点は、いったい誰が購入するのだろうか、という点でしょう。展示会冒頭の名古屋市長挨拶でも「市としても導入したい」とおっしゃっていましたので、まずは自治体とガス会社が率先垂範して購入し、市場拡大と本格的事業化の構築を目指すのではないでしょうか。早速東京ガス、大阪ガス、岩谷産業などの水素ガス供給会社が水素ステーションの設置について動き出し、具体化しつつあるようです。FCV車の購入に欠かせないのは何といっても水素ステーションが身近に存在するか否かですが、官公庁や地方自治体に1か所でも設置されれば、ガソリン並みの航続距離(650㎞程度)を考えると購入する人も増え始めるかもしれません。

 150kW のモータが作り出すパワーに魅力はあるかは別として「究極のエコカー」を日本の自動車メーカが世界初の実用車として発売し、HEVに続くジャパニーズテクノロジーを世界に見せつけた意味は極めて大きいと感じます。水素ステーションが無いうちに発売?という疑問もありますが、「発売するから、ステーションを作ってくれ~」と言う意味なのでしょうね。続くHONDAにも早く発売して欲しい、と願う気持ちもそれならば理解できます。

 インフラとしては、東京ガスが都内に初めて水素ステーションを開設し価格はガソリン並みとのこと。EVほどの手軽さはないですが、これこそが“未来の車”でしょう。

 



5. -コラム-
「積木細工とモジュール化」
                                             /青木邦章
 新年早々お堅いネタで恐縮ですが、今回は次代のモノづくりのあり方について考えてみたいと思います。
PCは組合せ(モジュール)型、自動車は摺合せ(インテグラル)型。日本は摺合せ型で本領を発揮するが、マーケットを意識しないとガラパゴス携帯のようになってしまい、世界市場から取り残されると言った自虐論調が経営関連諸誌に散見されます。また自動車産業においても、欧州発でモジュール化が進められていることは以前本コラムで書いた通り。どうもモジュール化において、日本人は遅れをとっているような流れです。そこでモジュール化について、もう少しだけ掘り下げたいと思います。

 青ちゃんは常々社内の技術スタッフに「積木細工の設計はするな!」と口を酸っぱくして言っています。大局的に本質を捉えず場当たり的に機能要素を寄集めていくと、部品点数も多く、強度に乏しく、コストが高く、メンテ性も悪い「しょうもない製品」が出来上がってしまいます(まさにカオスの世界)。一方、それでは高度に機能を集約して、一つの構成部品で何もかも実現すれば良いかというと、それはそれで非常に製作しにくく、高コストになってしまいます(ダメな摺合せ例?)。最適解はその中間点にあるのか、その辺のバランスが難しいものです。

 そこで登場するのがモジュール化。あるまとまった機能毎に構成要素を集約して徹底的に磨き上げ、開発設計の完成度を高めていくと、故障も少なくコストパフォーマンスに優れたカタマリができあがり、それらを組合せた集合体である機械装置全体の価値も高まります。口で言うのは簡単ですが実際にはなかなかどうして一筋縄ではいかないもの。装置全体の要求仕様を機能ごとに論理的に解析分解する左脳頭と、過去の経験を元にある種のひらめきを駆使しそれらをスマートに統合する右脳頭のコラボレーション。卓越したアート(匠)の世界が要求されます。

 道具や什器備品・家具など日本の伝統工芸品の中には、参考にできる考え方が数多く埋もれています。狭い国土や家屋の中で巧みに快適に暮らす日本人の叡智。もしかすると、そこに本当の空間創造(スペースクリエイション)の神髄があるのかも知れません。




6.技術コラム
[FCV]
 テレビや新聞で取り上げられる事が増えており、何かと話題のFCV(水素燃料自動車)ですがついに2014年11月18日にトヨタ自動車が世界に先駆けて「MIRAI」を発表しました。高圧タンク内の水素燃料と空気の化学反応をエネルギー源とし、排出するのはわずかな水だけという究極のエコカーと呼ばれている自動車です。FCVの最大の売りは、同じエコカーでありながら8時間充電で航続距離200km程度というEVに対し、充填時間3分で約650km走行できる(トヨタMIRAIのスペック)という圧倒的なメリットです。

 今後注目されるのは、バッテリーの高性能化・軽量化がなかなか進まず航続距離/充電時間の弱点を克服できないEVを飛び越えて一気にFCVの波が来るのか?というところですが、名実ともに国内トップメーカーであるトヨタの動きとしては、他社を出し抜く形で先日の発表を行ったこともそうですが、車両購入や水素ステーション建設への補助金制度をはじめ2020年の東京オリンピックの選手移送にFCVを使う事など、日本が進める「水素社会」への取り組みにも深く関わっているのは明らかで、そのあたりからもかなりの本気度がうかがえます。

 また、FCVの国際規格についても国内自動車メーカーがオールジャパン体制で世界を主導し、日本規格がほぼ世界規格となる見込みで、日本の自動車業界全体が徐々にFCVの方に舵を取りつつあるようにも感じます。FCVにも水素ステーションの整備や車両価格・水素自体の価格など今後の課題はありますがEV用バッテリーの飛躍的な技術革新がある時点までに起こらないと、FCVへ進む流れはより一層加速していくのではないでしょうか。

 弊社では開発試験機メーカーとして様々な試験対象品を扱いますが自動車業界の進化の方向により、自動車の構成要素が大きく変わりそれらを開発・評価するための試験機もそれに応じて変わっていく必要があります。10年後にはまったく必要が無くなる試験装置もあれば、今は存在しない部品の試験装置が必要とされることもあるでしょう。

 そのような状況の中、弊社では試験機に関する要素技術だけではなく試験対象品の構造や性質についての知識が無ければ最適な試験機を提供できないと考えており、常に最新の技術動向をおさえながら会社としても個人としても新しい知識・技術・技能を身に着けていく事を心がけています。

  



7.やまのひとりごと
先日12/11(木)12(金)の二日間、ポートメッセ名古屋にて「人とくるまのテクノロジー展名古屋2014」が開催されました。
お忙しい中ブースに足を運んでくださった皆様、本当にありがとうございました。当日の説明では分かりにくかった点やご質問などありましたらお気軽にweb-info@spacecreation.co.jpまでご連絡下さい。よろしくお願いいたします。