目次
1.製品紹介
2.技術コラム
3.書籍紹介 
4.EV・HEV開発最前線
5.青ちゃんの言いたい放題
6.技術コラム
7.やまのひとりごと









1.製品紹介
【FRシンクロ耐久試験装置】

マニュアルトランスミッションの動的試験を行なう装置です。
任意の回転数にて慣性負荷を与えた状態でシフトチェンジ操作を行い
各種計測を行います。


装置構成【計測項目】【計測項目】【計測項目】【計測 【計測項目】

【設定・操作】


*その他特注仕様、各種オプションにも対応いたします。お気軽にお問い合わせ下さい。



2.技術コラム
[アルゴリズムの共通語]
 現在、世界共通言語と言えば実質的に英語と言わざるを得ません。エスペラント語も世界の共通語として発展しているようですが、こちらは使用者人口も100位にはいってきてない現実もあり実態としては単に他国の人と会話する為や、他の国や異文化を学ぶためのものと割り切って使っている人がほとんどとなってきているようです。

 先回もお話しましたように、弊社が装置を作る際に担当者の方と制御的考えを共有化するのに最適の手法としてSimulinkが英語と同じく世界の共通語となっています。満足度における課題は多いものの、今はじっと我慢。これから先、数年後には感性も含めてもっとアルゴリズムが共有化できるツールと信じて精度が上がってくるのを待っています。アルゴリズムの共通言語としてSimulinkがダントツであることに疑いの余地はないわけですから。

 数年間ソフトリソース、アルゴリズムリソースを継承して発展させていくのですから、中身が如何にわかりやすいかがポイントになります。英語で話をしていても相手国の文化がわかっていないと心底まで理解できないのと同様、基本的な関数を使いまわしていても制御を実現させるアルゴリズムの実装がスパゲッティ状態になるともう理解するのにへとへと。

 そんなこともあり、Simulinkの世界では共通化のためワークショップを立ち上げてコーディング手法の規格化を薦めています。
最近出席したLabVIEW(日本NI)のアライアンス総会でも同じような悩みを抱えている会社ばかり。アライアンスメンバの発表では、実装方法の策定について言及されていました。LabVIEWも計測プログラムの共通言語化されてきている背景があり各社実装のオーバヘッドを少なくすることに注力されているようです。

 何事も効率が第一、各部での共通化を意識しながら日々実装に追われています。



3. 書籍紹介
『ブラック・スワン(上)(下)』  2009年6月発行  
ナシーム・ニコラス・タレブ著 ダイヤモンド社  
 9.11、リーマンショック、3.11、台風被害や、広島での土砂崩れ直近では御嶽山の爆発など、我々を取り巻く社会には常に予期せぬ災害が点在。このような現象をブラックスワンと定義して、それに対処すべき心構えを筆者独自のロジックで展開していきます。
 戦渦のレバノンでギリシャ正教の一家に生まれ、金融学で名をはせるウォートン・スクールMBAを卒業したトレーダ。常にリスクと隣り合わせに過ごしてきた氏独自の人生観が随所に表れています。
 上下巻合わせて500頁を超える書。しかも、哲学好きの西洋人の皮肉や比喩を交えた理屈っぽい言い回し。全ての人にお薦めといった本ではありませんが、ITロジックの氾濫に辟易している人、現代社会全般を斜に構えて眺めたい人知的刺激に飢えている人、そんな人は秋の夜長の時間つぶしに手に取っても良い一冊かもしれません。 


4. EV・HEV開発最前線
「自動車はどこへ向かうのか」 
 自動車技術開発の動機付けが何であるか、非常に重要な課題であると感じています。
1970年ぐらいまでの自動車作りは、特徴のある車をつくることで会社のイメージを作り上げると同時に、社員の情熱やモチベーションを高めることに繋がることで、更に面白い車を作っていくという好循環が生まれていった時代だったように思います。
 しかし、それ以降は需要家を楽しませてくれるというよりも、むしろ国際的な課題に対応するために知恵を絞り、競合他社に先立ち優位に実現していくという明確な目標をもち、会社存続へとひた走っていくということに変化しているように感じます。
 国際的な課題(テーマ)は、環境問題として二酸化炭素の排出削減・燃料の高騰などが挙げられますが、もっと身近なところでは道路渋滞、少子高齢化、高齢者事故、若者の自動車離れなどに見ることのできる安全・快適・興味なのだと思います。スポーツ車開発やF-1などレース界の高まりにより、若者が自動車作りに夢を追い求める、という構図があれば、日本の産業界牽引役である自動車業界も前途洋々といった所でしょう。
 一方、高齢者向きに扱いやすいモビリティとして小型EVがあるのだと思います。
近場はEVで操作性と環境性重視志向を、長距離はHEV・ディーゼルで快適性と省エネで、といった使い分けが分かりやすいのではないでしょうか。急速充電、水素ステーションなどのインフラ整備も“めったやたらそこらじゅうに”では実現も危ういのでは?



5. -コラム-
「ハイウェイの進化」
                                             /青木邦章
 今年も恒例の東名集中工事が行われています。仕事で遠出する機会の多い青ちゃんはいつもこの時期が憂鬱です。それでも一昨年、新東名ができてからはだいぶ渋滞が緩和され、気が滅入ることも少なくなってきました。新しい高速道路は路面が平らで道幅も広く水はけも良く、勾配もカーブも緩やかで、また照明や案内板の設備も改善されており、快適な走り心地を提供してくれます。さすがに新旧約50年の年代差は大きく、土木技術の進歩には感嘆させられます。

 さて、ここで実際のハイウェイから、情報ハイウェイに眼を移してみましょう。IT系の技術革新度合いは土木技術とは比較にならないほど速く、まさにムーアの法則に代表される通りの展開が続いています。CPUの計算速度も、メモリの情報密度も、ウェブの通信速度も、モニタの解像度も上がり、それに呼応するようにアプリケーションソフトも質・量とも年々充実しており、快適そのもの。ただ、実際の道路とは異なり、5年前・10年前のマシンと最新鋭機が共存するケースはまれなため、その進歩を比較する場面は限られます。 

 今ここで改めてITの進化と言うものを再認識してみると、道路の進化とはちょっと違った側面があることに気づきます。確かに大量な情報が高速に多重に世界中を駆け巡っているのですが、果たしてそれがどれだけ社会に貢献しているのでしょうか?その情報の質や信頼度は概して低く、人間の判断力に悪影響を与えていることも多々あります。さらには、人間の貴重な時間を奪って、生活の質を低下させている場合すらあるようにも思えます。

 IT技術の進化は歓迎するものの、どうやらそれを活用する人間の進歩がともなっていかないと、結局のところ何も意味がないようですね。
 



6.技術コラム
[減速機]
 当社で設計製作している開発試験機の構成要素の中で、良く使われるものに「減速機」があります。これはその名の通り、回転軸の回転速度を高速から低速に変換するものですが、高速回転が必要な場合には入出力を反対にして「増速機」として使うこともあります。

 一般的な4極の交流モータの定格回転数は50Hz地域では1,500rpm、60Hz地域の場合では1,800rpmですから、例えばコンベアや巻き上げ装置を駆動する場合に回転数が早すぎるので、減速機を介して必要な回転数まで減速して使用する場合などに使われます。インバータ制御で、電気的に回転数を制御する事もできますが減速機のメリットとして、機械的に回転数を落とすとその分トルクが上がり、小さなモータで大きな力を出すことができるため、インバータと併用して減速機が使われる事もよくあります。「ギアードモータ」として、モータと減速機をコンパクトに一体化し、様々な減速比のラインナップを揃えた製品も各メーカより販売されています。ただし、歯車式の減速機を使用する場合には、バックラッシュ(歯車間の微小な隙間)の影響を受ける事になるので、回転の精度が必要な場合などには注意が必要です。

 当社の製品において、小型の装置については前述のギアードモータや市販品の減速機を購入して使用することが多いですが、エンジンやトランスミッションの試験機などの主軸の増速/減速に必要なものとなると、高速回転・高トルクでの伝達能力が必要でレイアウトや速比も特殊なものが必要になるため、社内で設計・製作することになります。

 写真は過去に製作した並行軸型の減速機で、高速側で10,000rpm最大出力トルクは1,500Nm程度のスペックのものです。試験機の駆動系の構成として各種モータと減速機の組合せは無限にありますが、その中で、お客様の要求仕様(機能・価格・納期)に合わせて最適な仕様の提案をしています。
  



7.やまのひとりごと
 日増しに寒くなってきましたね。
寒くなると、無性にお汁粉が食べたくなるのは私だけでしょうか。
今度のお休み、小豆をじっくりコトコト煮て美味しいお汁粉作ろうかしら~…。
と、考えているやまです。