目次
1.製品紹介
2.技術コラム
3.書籍紹介 
4.EV・HEV開発最前線
5.青ちゃんの言いたい放題
6.技術コラム
7.やまのひとりごと







1.製品紹介
[HILS対応型ブレーキアクチュエータ]
本装置は、ブレーキ関連部品(ペダルリンク・マスターシリンダ・キャリパ等)
のHILS(ECU)開発試験装置です。
【装置外観】


【適合試験】

【構成】


*その他特注仕様、各種オプションにも対応いたします。お気軽にお問い合わせ下さい。



2.技術コラム
[アルゴリズム]
 このところ、シミュレーションの世界にどっぷりと漬かって装置と向き合っているので、頭の中がアルゴリズム漬けになっています。最終的な目標は装置をプログラムで制御することですので、最初のアルゴリズム設計が特に重要で、そこで時間をかけないと後々苦労することになります。総じて、制御系のプログラムは基本のロジックがしっかりと組み立てられていると検証が非常に楽に進められます。

 アルゴリズムとの出会いは、学生の時に課されたFortranの宿題であったソートプログラムと思い込んでいました。よい機会でもあるので、復習にアルゴリズムを検索してみると、次から次へと出るわ出るわ。でも、アルゴリズムとの出会いは思いのほか早く、筆算から始まっていたのです。誰もが同じで、掛け算、割り算も立派なアルゴリズム。さらに素数の判定法や、素因数分解もアルゴリズム無くして解くことはできません。

 計測の世界は、FFT分析も離散フーリエ変換を適用させたアルゴリズム解析に入ります。また、プログラムを勉強し始めると、最初に取り組むのがソートや検索で、これだけで一冊の本が出ているほど奥深く、手法もたくさん提案されています。これらの初歩的なアルゴリズムから、数値解析法におけるさまざまな数学的解法を駆使して弊社の装置も計測や制御に工夫を凝らして装置の機能を実現させています。

 先般話題に取り上げたPIDコントロールも、アルゴリズムの充実無くして安全に制御することはできません。

 アルゴリズムの検証では、その一部分を抜粋して全体を、分割した形でのシミュレーションが欠かせません。弊社の採用しているプログラミングツールであるLabVIEWやSimulinkはその検証が非常に楽に実現できる便利さを備えています。頭の中のロジックを地道に検証することで装置の性能を確保しているのです




3. 書籍紹介
『レゴはなぜ世界で愛され続けているのか』  2014年5月発行   
デビット・C・ロバートソン、ビル・ブリーン著 日本経済新聞出版社  
 誰でも一度は眼にしたり、手に取ったりしたことのあるレゴブロック。世界中の子供たちに多くの喜びを提供している玩具。また、知育教育・創造性開発の教材としても、多くの親から支持されていると思います。しかしながら、その社内で繰り広げられている開発劇や経営判断における葛藤までには、私たちはなかなか思いを巡らせることはできません。

本書は、レゴの創業から今日までの100年近くの歴史をなぞりながら、その時々の業績の浮沈や、社会の評価、そしてそれに対する経営陣の対応策を解説しています。身近な題材だけに商品開発の流れや経営の意思決定の巧拙がすんなりと頭に入ってきます。さらにはイノベーション手法とそのマネジメントの要諦も仮想体験できます。



4. EV・HEV開発最前線
「優れた燃費と快適性能の両立」 
今回は北欧でのEV車の普及についてお話します。

 環境問題に特にうるさい北欧では、生産国である日本を遥かに超えてEV普及に非常に熱心で、その理由は国や自治体がバックアップしている事に他ならないと考えられます。
 具体的な例を挙げると、駐車場代がガソリン車は高額なのに対して、EV車は“タダ”。なんと充電器も備わっています。そこに並んだEV車は日本製が殆どです。再三、本誌でも取り上げているので航続距離的に不利なことは言うまでもありませんが、街乗り程度なら一理ありといったところでしょうか。

 EV車の普及には、更なる環境負荷の低減、燃費(電費)の向上、快適性能の確立、そして本来のカードライブの面白さを感じさせることが肝要…と考える次第です。



5. -コラム-
「直感と直観、似て非なるもの」
                                             /青木邦章
 多くの人は生活のさまざまな局面で、論理的な判断よりも直接的に感情に流されて、いろいろな意思決定をしているように感じられます。個人の趣味嗜好の世界ではそれで十分でしょうが、仕事においてはちょっと困ります。通常業務では習慣的にあるいは惰性で行動できることも多いですが、創造的な仕事においては新しい選択・決断を迫られることも多々あり、悩みが尽きません。

 その際に「チョッカン」が役に立つのも事実ですが、またこれが曲者。漢字で書くと「直感」と「直観」の二つがあり、人によってはそこに差異はないと言う方もおられますが、私は両者には明確な違いがあると考えます。直感とは、本能や過去の体験から物事を瞬時に感覚的に単純に判断する意思決定手段。それに対して、直観は脳を総動員して、瞬間的に対象の本質を見抜く洞察力。そんな風に私は考えます。

 通常、論理的思考では主に言語を用いて、事態を順番に解きほぐしていって、目指す方向に再構築していく過程を取ると考えますが、直観においては、より視覚的にあるいは多面的に全体像を瞬時に把握しているように感じます。

 スポーツや囲碁・将棋などの勝負師はこの能力が優れていると言われますが、機械設計者も長年にわたり修羅場を潜り抜けていくと、同様に直観力が磨かれます。言語を使わずに実空間(3D)を図面(2D)に落とし込んだり 逆に頭の中で図面から実体を想起したりという作業を、常に高速で繰り返しているからなのでしょう。

 ただ、これも漫然と時を経ているだけではいま一つ。常に真剣勝負で考え抜いていかなくては得られない境地だと思います。3D-CADや各種シミュレーションソフトが幅を利かせ、若年層でも比較的簡単に設計ができるようになってはいるのですが、どうもオペレーションばかりに長けてきていて、直観力は育っていないように感じます。

 愚直に素直に目の前の課題を受け入れて全力で事に臨む一方で時々は後ろを振り返り謙虚に反省して自分の進路を軌道修正していく。そんな繰返しが人を育てるのではないかと思います。



6.技術コラム
[ポカヨケ]
 いわゆる「業界用語」というのはどの業界にもあるのでしょうが、当社が関わっている設備の業界でも現場では多くの独特の言葉が飛び交っています。「ポカヨケ」とか「バカヨケ」という言葉もその一種で、今では聞きなれた言葉ですが、初めて聞いた時には違和感を覚えた記憶があります。

 もともとは「Fool Proof」という英語が由来の言葉で、直訳すると「愚か者にも耐えられる」となりますが、実際には、使用者が誤った操作をしても重大な事故を起こさない、もしくはそもそも誤った操作ができない設計をすること、という場合に使われる言葉です。身近な例で言うと、電子レンジの扉を閉めないと動作しなかったり、自動車のギアがパーキングポジションに入っていないとエンジンがかからなかったりというのが正に「ポカヨケ」という訳です。

 この思想の根底には、人間は必ずミスをするものであり、製造元を離れてしまえば想定外の使われ方をされる場合もあるという前提があります。これは大変重要な事で、私たちが設計する機械も必ずこの思想のもとに、不用意な扱いによる事故や故障が無い様な設計をしています。

 ただし、なんでもかんでも安全に設計すれば良いという訳ではなく、例えば、全てのカバーに安全検出センサーをつけたり、干渉する可能性のある動作は全て操作できなくしてしまったり、というのはやりすぎで、コストや作業性の面でバランスの悪いものになってしまいます。そこで多くの場合は、お客様の設備規定・安全規定を良く確認し、その規定に沿った上でどの様な環境でどの様な作業者が扱うのか、通常作業やメンテナンスではどういった姿勢でどの様な作業を行うのかを良く考え、ポカヨケを含めた最適なシステムとして仕様書や図面で提案する、という手順をとっています。

 安全確保と作業性とはトレードオフの関係となる事も多く難しい部分ではありますが、どれだけ高機能で使いやすい機械であっても事故を起こしてしまっては完全な失敗作ですから、機能性と安全性を兼ね備えた設計となる様、社内での設計審査を厳しく行うことが大切なのです。



7.やまのひとりごと
私の数少ない趣味の一つに、お茶室巡りがあります。

と言うと少し格好いいのですが、お茶室でいただけるお抹茶と和菓子が目当てだったりします。美しい日本庭園や荘厳なお城を眺めながら、美味しい抹茶と季節の和菓子で一服…。最高に贅沢なひと時です。
カフェでコーヒーを、なんておしゃれな休日もいいですが、たまには日本の伝統文化に触れてみるのも楽しいですよ。
もしオススメのお茶室がありましたら、是非教えてください。
やまは愛知県犬山市の「有楽苑」が一押しです。