目次
1.製品紹介
2.技術コラム
3.書籍紹介 
4.EV・HEV開発最前線
5.青ちゃんの言いたい放題
6.技術コラム
7.やまのひとりごと







1.製品紹介
[LSDテスター]
【装置仕様】

名称

構成機器

性能・機能

入力軸部

モータ

水冷式インダクションモータ

負荷吸収

電源回生コンバータ

トルク計

容量:2,000N・m 精度:0.5%F.S.

調整機構部

 

スプライン方式による軸長調整

出力軸部

モータ

水冷式インダクションモータ

負荷吸収

電源回生コンバータ

トルク計

容量:2,000N・m 精度:0.5%F.S.

制御盤

 

自立型、アンカーボルト固定

操作盤

手動運転

手動設定ボリュームにて回転数・トルク設定

自動運転

タッチパネルにて回転数・トルクの運転パターン設定

【測定項目】

 

項目

 

入力軸トルク

 

L出力軸トルク

計測項目

R出力軸トルク

 

入力軸回転数

 

L出力軸回転数

 

R出力軸回転数


*その他特注仕様、各種オプションにも対応いたします。お気軽にお問い合わせ下さい。



2.技術コラム
[リアルタイム計測]
 技術的に進んで、リアルタイムに処理をするのが当たり前になってきています。リアルタイム=実時間。リアルタイム計測と言えば、オシロスコープなどで現象を漏らすことなく測定できることです。技術的に高度であり、用いるデバイスも特殊かつ選別されたものとなるので、かなり高額な装置となります。

 最近のリアルタイムオシロ高速版は、70GHzを測定できるもので、価格も5,000万円を超えます。今も投資対象となっている光関連先端でのニーズに応じたものなので、お金には糸目をつけていられないのでしょう。でも、70GHzの世界とはどんなものなのか興味ありませんか。実感できた訳ではありませんが、1,2年ほど前、何となくGHzの世界を身近に感じた話題があります。

 2011年の9月にCERN(欧州合同原子核研究機関)の発表した「ニュートリノが光速度を超えた」誤報事件。発表時は、相対性理論に反する結果のため世界が注目。データを公開して、世界に裏付けを問い掛けたものです。結局、時間と位置を計測するGPSを繋いだ光ファイバーの接続がNG、誤差範囲内と撤回された世紀の計測結果です。

 詳細はWeb上に満載ですので譲りますが、光速の計測も”ns”で行なわれていると言う事実に、普段我々の開発している装置と小数点オーダは同じなんだ、という事実に何か親近感を感じたものです。

 これにより、GHzの世界に触れると共に、同じ計測装置を扱っている身によい警鐘となりました。一点は装置の準備、一点はデータの裏づけの必要性です。十分な検証もせずに世の中に出すべきではない、との実感です。装置は、センサデバイスレベルから、十分に校正データを取得すること。装置が出来上がった時には、制御に応じた動きが得られているかを、時間を掛けて再度検証すること。納期に迫られ、ついこの2点をおざなりにすると必ず納入後のフォローが増えます。

 これって、装置メーカの法則のようなものです。



3. 書籍紹介
『禅と日本文化』  1940年9月発行   
岩波新書 鈴木大拙著 北川桃雄訳 

 今回は古典のご紹介です。クールジャパンとして日本の文化/芸術/芸能などがグローバルに高く評価されていますが、その根底に流れるものとして、禅の精神が挙げられます。
 今から70年以上前に外国人向けにそれらを紹介した本書は、現在の日本人にとっても十分読み応えのある書と言えます。文語体で書かれており、ちょっと敷居が高いように感じますが、我慢して読み進めていくと日本を再発見できると思います。


4. EV・HEV開発最前線
「スマートカーについて」 
 今、自動車が面白い!逆の言い方をすれば、先が読めない怖さがある、とも言えるのではないでしょうか。
 内燃機関エンジンから電動化(EV/HEV)へと加速度的に変化し、前号でも紹介しているFCV(燃料電池自動車)へと推移しようとしています。
自動車は自動車メーカ単独では作れなくなってきているのが現実のようで、家電メーカはもとよりセンサー・ソフトウエア会社そしてガス会社などとのコンビネーションが極めて重要な要素となっているようです。
 これも、安全運転支援システム・自動運転システムなどの技術開発が会社存続のための必要不可欠な技術であると考えられるからで、自動車メーカやティアワンクラスが積極的に開発投資しています。
 交通事故を減らし、高齢者に多いとされるブレーキとアクセルを間違えることや、居眠りわき見など、だれでも・どこでも起きる可能性を排除していけるだけの技術が求められています。開発試験設備も今後様変わりしていくのではないでしょうか。事故を未然に防ぐこれらの技術は、今まででは上級車だけに求められていたようですが、経済性重視傾向にあった軽自動車にまで波及してきています。
 正に、全産業に近い巨大な市場を生み出すとして、アベノミクス効果も手伝ってますます意気軒昂。是非とも他国の追随を許さぬ盤石な体制で勝ち取っていただきたいと切に願うものです。



5. -コラム-
「CVT対DCTの戦い」
                                             /青木邦章
 たまには青ちゃんも技術ネタを少々。ご存じのとおり、当社は自動車関連の各種試験機を開発製造しているのですが、特にパワートレイン(動力伝達)系のそれが主力となっています。そのお客様の中でトランスミッション(変速機)業界で繰りひろげられている、今一番ホットな開発競争は「CVTとDCTとの戦い」です。

 ともにAT(自動変速機)の範疇に入りますが、CVTは一昔前の遊星歯車と湿式多坂クラッチを組合せた(いわゆる)ATとは異なる、連続可変方式の変速機で油圧制御のスチールベルト方式が主流です。日本の小型から中型車の多くは、この方式を採用していると言ってもよいでしょう。

 一方のDCTはデュアルクラッチ変速機で、従来のMT(マニュアル変速機)のクラッチを複列にして、自動制御にしたようなもの。欧州を中心に普及しつつあり、欧州ビイキの中国でも開発が始まっています。また、日本でも一部の車種にはテスト的に採用され始めています。

 両者ともに一長一短ありますが、アウトバーンを突っ走るにはDCTが有利、渋滞の中をトロトロ走るのはCVTに分があるといった感じでしょうか?燃費性・レスポンス・つながりフィーリング・寸法&重量・部品点数&コストなど、比較検討する要素が多数あるため、今後どちらが主流となるかは予断を許さない状況です。

 遅れて世に出てきたDCTは、制御性など改良の余地も高く、今後の進化次第では、燃費やスポーティな走りの点から市場を制する可能性もあると見ています。

 ただ、日本はCVT関連への設備投資がかなり進んだため、DCT採用にはちょっと二の足を踏んでいる気配も…。まさにクリステンセンの言う「イノベーションのジレンマ」というヤツですね。目先のことばかりにとらわれていて、気づいた時にはもう手遅れなんてならなければ良いのですが…。



6.技術コラム
[触って確かめる]
 子供の頃、大事なものを壊してしまった時に「形あるものいつかは壊れる」と親から言われて慰められた記憶がありますが、我々の業種においても「絶対に(永久に)故障しない機械」というものが存在しないのも事実です。

 当然のことながら、開発した装置を納入するだけが仕事ではなく、アフターサービスとしての定期メンテナンスや、調子が悪い時に点検・修理に行く事も重要な業務となります。装置に異常が起こった時というのは、必ず何か異音や発熱、振動など、通常と違う現象が発生するもので、温度計や振動計などの計測器により数値化して解析した上で対応するのがエンジニアとしての正しいやり方ですが、現場に行ってまずやることは、5感を働かせて注意深く観察する事です。

 経験豊富なサービスマンであれば、音や振動の状況から何が問題なのか瞬時に判断できる事もあります(経験からくる第6感も働いているのかもしれません)。人間の感覚というのは想像以上に優れている部分があり、経験と努力によって研ぎ澄まされると、機械では再現不可能な領域に達する、いわゆる職人技というものが存在するのはよく知られるところです。

 そこまでの話ではありませんが、弊社の製品で良く使われる高速回転スピンドルユニットの検査項目の一つに、長時間運転して軸受部分の摩擦による温度上昇が一定範囲内に収まっているか、というものがあります。その検査の際、温度計で計測するのはもちろんですが、触って確かめる事でおおよその表面温度を知る事ができます。ずっと触っていられるのは大体50℃まで、60℃になると3~4秒で限界、70℃だと指1本で3秒程度、80℃だと指1本で1秒程度、という具合です。もちろん提出データとしては計測器で正確に数値化しますが、この様におおまかに感覚により機械の状態を知る事も効率よく仕事を進める中では重要な事なのです。



7.やまのひとりごと
 乾燥した寒い日が続いています。皆様、体調管理は万全ですか?

うんと小さな頃、小学校にあがる前位でしょうか、風邪を引くと母親を独り占めできるし、いつも意地悪な姉が優しくしてくれるし、風邪を引くのも悪くないなぁ…なんてのん気な気持ちでいたものですが、今はそうはいきません。

 風邪だけでなく、インフルエンザにノロウイルス、感染性の強い病気が流行っています。予防もなかなか難しいですが、健康第一で寒い毎日を乗り切りたいですね。