目次
1.展示会案内
2.技術コラム
3.書籍紹介 
4.EV・HEV開発最前線
5.青ちゃんの言いたい放題
6.技術コラム
7.やまのひとりごと







1.展示会案内

会期       2013年5月22日(水)~24日(金)  10:00~17:00
会場       パシフィコ横浜・展示ホール
入場料     無料
弊社ブース   5「静岡テクノフロンティアブース」内
弊社出展製品
MSHモータ性能評価システム


MTU-10

★ MSHモータ性能評価システム
・ HEV・EV系モータ・ドライバを総合的に評価できるシステム
・ 高速回転性能・耐環境性能・効率性能評価可能




★ MTU-10 パワートレインダイナミック傾斜テスタ
・エンジン・トランスミッションの実車走行をベンチで再現



*上記仕様以外にも各種オプション、特注仕様にも対応致します。まずはご相談下さい。



2.技術コラム 

『深読みする』

  先日のプロ棋士vsプログラム将棋対戦結果は、ソフト側が3勝で勝利、チェスの世界チャンピオンに続き遂に人工知能が人間を超えたことになります。

 チェスと将棋の大きな違いは、将棋は獲得した駒を持ち駒として使える分だけ戦法の読みが深くなることにあります。これにより、駒配置の読みは無限大にまで膨れ上がるとのこと。したがって数年前までソフトは将棋でプロには勝てない、と言われていたところがこの結果です。

 今回の対戦で最後に登場した将棋ソフトGPSは、680台のクラスターPCを使って読みの計算を行っていたとの事です。つまり、それだけの人工知能を持って対戦しなければ、人間の思考回路には勝てないとの証明がされたことになります。

 先を読む頭脳=羽生名人によればソフトによる無味乾燥な対戦と比べ、人間が将棋を指すことによって思いがけない発想やドラマチックな逆転が生まれる。そこにこそ対局の面白さがあり、どれだけコンピュータ将棋が進歩したとしても、コンピュータには人間の共感できる将棋は指せない!単なる一意的な戦術をたどるPCの将棋に面白さは見出せないとの言。

 脳科学も注目するだけあって、深い読みのある感想だと思います。ともあれ、出来るだけ早く羽生名人とコンピュータ将棋との対戦を見てみたいものです。

 ところで弊社の扱う装置の設計も将棋の対局と同じく、担当者によって設計過程の思いが辿る道はさまざま。最終的に外観上同じで製作仕様書通りですが、仕上がりはその過程を反映して個人差がどうしても出てきます。本来個人差を無くす為の製作仕様書であるはずが、組立てた装置には、周辺機器の良悪を吸収できるものと出来ないものとの差が見られます。

 対局中の局面々で次の手を深読みするアルゴリズムは、読み検索+評価関数によります。深読み度を決める評価関数は「機械学習」によってコンピュータ自ら進化させ強さを増していくとのこと。わが社でも設計者は日々の業務によりノウハウを蓄積、情報の収集と分析で自らの設計評価関数を進化させています。
3. 書籍紹介

『「いき」の構造』
久鬼周造著 藤田正勝 (全注釈) 講談社学術文庫 2003年12月発行
 今回はちょっと古い異色書籍のご紹介です。やや難しい本ではありますが、注釈付きでページ数も少ないので我慢してご一読ください。

 新興国の急激な追い上げで、日本のモノづくりも難しい局面に突入しています。Q(品質)C(コスト)D(納期)だけでは特徴付けが難しくなっている昨今、真の日本の強みは独自の文化伝統に根ざした商品の味付けではないかと思います。

 マンガやキャラクターグッズに見られる西洋文化とは一線を画する独特のクールジャパン。これらの根底に流れる通奏低音として、「いき」といった感性も重要な位置づけにあると考えます。体に染み付いた独特の感性をあらためて文章で再認識する、そんな作業も時には必要となりますね。
4. EV・HEV開発最前線

「パワートレイン系試験装置:交流モータ編その2」


 スペースクリエイションが得意とする各種モータリング装置は、その名の通りモータを上手くコントロールすることで試験の目的が達成されることになります。
 その制御には回転状態を検出する回転検出器(下記)が必要となり、モータの状態と指令が一致するように制御を行う事が重要です。

①パルスジェネレータ:シンプルな速度検出器で回転方向は判断できない
②エンコーダ:基本は2相(A/B)出力で回転方向が判別できる
③レゾルバ :90度ずれた位相を持つ2つの回転子コイルと1つの固定子コイルを持つ
        構造簡単・丈夫・半導体不使用による耐ノイズ性などによりEV/HEVに
        使われている。
※5月22~24日の三日間、パシフィコ横浜で開催する「人とくるまのテクノロジー展」では、例年通りスペースクリエイションブースを構えて、お客様と有意義な時間を過ごすべく奮闘努力する覚悟でいますので、どうぞご来場くださいませ。

5. -コラム-    

「階層的下請け構造の崩壊」
                    
/青木邦章

 
 世界に名を馳せたものづくりの街「浜松」も、ここ数年全く元気がない状態です。輸送機器・弱電・光電子などの量産系下請け工場は、生産拠点の海外移転や産業そのものの衰退で、一部を除き極端に仕事が減っているようです。アベノミクス効果への期待値は高いものの、実態としてはそれほど変わっていない様子。雇用面でも心配です。

 今から10年以上前、ある地元経済団体で中小企業の実態調査を行なった時のこと。浜松の企業はものづくりの盛んな全国10地域で比較すると、企業規模は大きいものの、特定親会社との取引中心の典型的な量産下請け型で、特化技術(技能)面では心もとなく、新興国からの追上げや円高には弱いという結論でした。

 これを踏まえある地方紙からのインタビュー時に、(記者へのリップサービスもあって)「上を向いて口を開けていれば、餌が落ちてくる時代は終わった。」と話したところ、結構大きな記事で取り上げられました。「我々もそんなに楽なものではない。」と、多くの先輩地元中小企業経営者達からだいぶお叱りを受けたのですが、結局のところその通りになってしまったと思います。「地元の雇用は守る」と言っていた大企業も、最近ではめっきりトーンダウン。やはり中小企業といえども、経営者自身が独立して自社の行く末をしっかりと見定める必要がありそうです。

 仲間の地元経営者の多くを見ていると、改善やコスト削減などの戦術論には長けているものの、事業領域の策定や、自社特化技術の長期的育成などの戦略的な展開には弱いのではないかと思います。もちろん改善活動など地道な努力も必要ではありますが、海外も含めた大激動のうねりの中では、もっと根源的な変革でなければ奏功しないのでしょう。

 かく言う当社も相変わらずその日暮らしのヨチヨチ歩き。社長業といえども一営業マンとして東奔西走の日々です。人・モノ・金・時間の全てが不足している状態で、なかなか画期的戦略を打ち出せないままでいます。今まで以上に世の中を深く観察して、また自分自身をとことん追い込んで、10年後・20年後のあるべき姿を描き出す努力を続けていかなければいけないと、気持ちばかりがあせる今日この頃です。
6.技術コラム
「慣性について①」

 「慣性の法則」というものを中学校の理科で習ったと思いますが、弊社でもこの慣性の原理を利用した試験機を取り扱っています。

 慣性の法則とは、「すべての物体は外部から力を加えられない限り、静止している物体は静止を続け、運動している物体は動き続ける」というものですが、この慣性の力を利用した装置を設計することもありますし、慣性の力によって発生する様々な問題もあります。
 自動車にはエンジンやトランスミッション、タイヤなど、回転する機械要素が非常に多く、必然的に私たちも回転体の慣性について取り扱う事が多くなります。

 回転体における慣性の法則とは、例えばコマが勢いよく回るとそのまま回り続けるのがそれで、「回転運動しているコマは回転し続ける」という現象ですが、地球上には空気による抵抗やコマの軸が接地している部分の摩擦抵抗があるのでそれが外部からの力となり、徐々に回転は遅くなって最後には止まってしまいます。

 慣性により回っているコマがなぜ倒れないのかという疑問については歳差運動というものを説明しなければいけないのでここでは省きますが、ここで重要なのは、静止している状態から回転している状態にするためには、外部からエネルギーを加えてやる必要があり、それを止めるためにも同等のエネルギーが必要である、ということです。

 言い替えれば、回転している物体はそこにエネルギーを貯めている、ということになります。よく例に出されるのは昔の足踏みミシンのはずみ車(フライホイール)といわれるものですが、電気を使わないおもちゃなどにも、その蓄えられたエネルギーを利用したものがあります。
 うまく使えば装置の小型軽量化、コストダウンにも役立ち、扱いを間違えると思わぬ事故につながるこの回転体の慣性について、次回、例を挙げながらお話ししたいと思います。

7.やまのひとりごと

 通勤に使用している駅の駅舎内にツバメの巣を見つけました。
それも2箇所にです。
ツバメが巣を作るとその家には幸運が訪れると聞きますが、ほとんど毎日利用している
駅なので、ほんの少しでもいいので幸せのおすそ分け、ないかなぁ~と期待しております。

 5月はパシフィコ横浜にて「人とくるまのテクノロジー展」が開催されます。
表紙でもご案内しておりますが、ご連絡いただけましたら案内状をお送り致しますので
是非web-info@spacecreation.co.jp までお問い合わせ下さい。
皆様のご来場をお待ちしております。