目次
1.製品紹介
2.技術コラム
3.書籍紹介 
4.EV・HEV開発最前線
5.青ちゃんの言いたい放題
6.技術コラム
7.やまのひとりごと






1.製品紹介
[EPS試験評価装置]
ステアリングとラック反力をコントロールする事が可能な
EPSのHILS試験評価装置のご紹介です。
【装置駆動部イメージ】

【測定項目】

ステアリング角、ステアリングトルク、ピニオン角、ピニオントルク、ラック変位、ラック荷重
【装置仕様】

 ホイール反力駆動部  駆動:リニアサーボアンプ
 制御:サーボアンプ
 ステアリング駆動部  駆動:ギアードサーボモータ
 制御:サーボアンプ
 ホイール反力計測  計測:引張圧縮ロードセル
 ハンドル部トルク計測  計測:トルクメータ
 ピニオン部トルク計測  計測:トルクメータ
 リニアサーボ位置計測  計測:リニアエンコーダ
 ハンドル部/ピニオン部角度計測  計測:リニアエンコーダ

*その他特注仕様、各種オプションにも対応いたします。お気軽にお問い合わせ下さい。


2.技術コラム
[制御の正解と納得解]
 リクルート伝説の営業マンで、東京の中学校を統合校寸前から有名校にまで導いた藤原和博氏の講演の中に、正解と納得解を対比させた興味深い話があります。

 問題が与えられた時に、日本人は「正解」をひねり出そうと頭を使うことに慣れきってしまっている。一方、欧米人は違うかもしれない答えをまず提示。そこから「修正」することで回答を導くことに頭を使い、柔軟性を持って納得解へアプローチすると言う違いがあるとのことです。
 バブル崩壊までの教育現場や産業現場では、正解を出すことが一位を取ることにもつながっていた。崩壊後は、正解はひとつではなく様々となり、いろんな回答に向かって修正が必要なので、欧米スタイルに向かうべきだ、と言う主旨です。

 弊社の製作する装置にも、完成の落ち着き先が様々である点で同様なことを感じています。最近は、お客様の要求も多種多様となり、乗り心地など、今までにない評価が対象になってきています。
 その評価を成り立たせるために、装置を更新する機会が多くなってきており、今までの正解ではかなえられない装置の機能を求められることが多くなってきていることを感じます。

 例えば、他社との差別化のため、ステアリング評価装置で一歩先に進んだ操舵フィーリングを得るように、反力発生部の油圧駆動をモータ駆動に代え、より微妙な制御を要求されることが普通になってきています。
 とりあえず目標値を与えて正解からの偏差を修正するフィードバック制御は、正に欧米スタイルの発想で動いています。サーボモータはその核技術。目標に到達して保持できるように、位置偏差を修正するメジャーループの暫定解に、速度偏差や電流偏差を見るマイナーループが微修正を加えて、納得解を得ています。

 ポイントは、マイナーループがより早く反応すること。これによりメジャーループが余裕を持って主制御を掛けることができます。柔軟性を持たせて、変化する目標位置追従するのがサーボシステムで、模範的修正主義といったところです。ただ理論的には確立されているので、後から考えると正解はひとつなのですが。


3. 書籍紹介
『日本社会のルネッサンス』 
2012年12月発行 東京図書出版 井上淳著
 現代の日本社会の問題と今後の方向性について、わかりやすく分析した解説書。経済産業省在籍の約30年、日本経済を統括、法律(の原案)を作る立場の苦悩が滲み出ている書です。おそらく今までのご自身の業績を振り返って、組織内では発言できなかった本音を(言い訳も含めて)、吐露しているのでしょう。新聞やニュースの各種意見の総集編として、課題整理に大いに役立つと思います。

 金融工学について、「人々を幸福にした上に自分も儲ける」のがプロ、「人々の不幸を承知で自分が儲ける」のは詐欺。
縦割り行政に対する批判として、「目・鼻・口などの各パーツは完璧でも全体としておかしな顔になることに例えて『福笑い現象』と呼ぶ」など、思わず頷いてしまいます。

 ただ、時代を変える・次代を創るルネッサンスの具体的道筋が見えにくいことに物足りなさを感じます。やはり霞ヶ関からのスケッチという限界があるのでしょうか?


4. EV・HEV開発最前線
「運動エネルギー回生システム」

 ・HEVの駆動系には、従来のエンジンと駆動用モータおよびバッテリーを充電するための発電用モータが搭載されています。先月号まで取り扱っていた駆動用モータに対して、発電用モータは回転する(回転させられる)ため、回生エネルギーの発生効率が重要となります。坂道を下るときやブレーキを踏んだ時には、運動エネルギーが電気エネルギーに変換されバッテリーに充電されることから、運動エネルギー回生システムの誕生となります。
 特にEVの場合はこの回生システム効率が高くないと、走行距離(電費)に影響するため、特に重要です。 

 ・一方レース界においても、F1では[KERS]と呼ばれる回生エネルギーを活用するというレギュレーション変更など、今や市販車もレースカーもハイブリッドという時代のようです。回生エネルギーの蓄積と放出でオーバーテイクを仕掛けることや、燃費も重要でピットイン回数を左右することで戦績にも影響するということとなり、モータ・ジェネレータ・インバータなどの技術革新へのニーズは絶えることがありません。


5. -コラム-
「乗り換えキャンペーン」
                                             /青木邦章
 携帯電話でおなじみのキャンペーン。マーケットシェア獲得のため、新規顧客に限定してなんらかの特典を提供し、購入を迫るものです。ネットビジネスでは当り前感がありますが、自動車などの実体販売でもチラホラと出始めているようです。

 しかし、意外に古風な考えの青ちゃんとしては、どうもしっくりときません。商いというものは、継続的な信頼関係をもっとも重視すべきもの。全体の販売数が増加すれば、規模の経済で原価低減でき、既存顧客にもその利益を還元できるのかもしれません。

 しかしながら、新規顧客に限定して何か優遇策を提供するという裏には、相対的に既存顧客をないがしろにしている、「釣った魚に餌をやらない」考えが見え隠れします。
 国内においては、人口減・社会の成熟化・「モノ指向から心指向への変化」などにより、市場規模の伸びなやみ(あるいは縮小)があります。そういった中で、いきおいシェア争いに突入してしまう気持ちもわからないではありません。しかし、やはりビジネスの本質はもっと違うところにあるのではないでしょうか?

 市場全体を大きな塊としてとらえるのではなく、常に個客としてとらえることにもっと注力すべきでしょう。
短期的なディスカウントや、流行りのノベルティなどで安易に購買意欲を掻き立てるのではなく、商品の本質的な魅力で正々堂々と勝負すべきもの。ちょっと前にはやったブルーオーシャン戦略とまでは言いませんが、世の中がどう動いているか?自分たちの取り柄(存在意義)はどこにあるのか?その商品(サービス)の適正価格はいくらなのか?そういったことをしっかりと見定めて、それをお客様に正確にお伝えする努力を怠らない。結局は、そういったまっとうな事業活動が企業の長期的な安定成長につながるものと思います。



6.技術コラム
「ナレッジマネジメント」
 弊社が現在取り組んでいる社内活動のひとつに、「ナレッジマネジメント(略してKM)」があります。これは、個人も含めた社内にある知識・情報を共有・管理し有効活用する事で品質向上、業務効率改善を目的とした取り組みです。

 この場合の知識・情報とは、経験則による職人技のようなものや仕事のちょっとしたコツなど、普段はあまり言語化されない「暗黙知」までを含んだものを指します。よくある「べからず集」といったものもこれに含まれるもので、誰しも失敗はあまり積極的に周囲に知らしめたく無いものですが、仕事における失敗は財産であり、貴重な経験として情報共有する事で同じ失敗を防ぎ、経験を生かすことで技術力の蓄積とするといった考えを社員ひとりひとりが持たなければいけないと思います。

 また、弊社の製品は一品モノ、つまり毎回イチから設計するものがほとんどですが、ユニットごとに実績のある設計品を標準化し、部分的に流用する事で設計時間短縮、信頼性向上、コストダウンなど、様々なメリットをお客様にもご提供する事になるのでこうした技術標準の作成も含め、KM委員会として組織化し、実務と並行して資料作成・しくみ作りなどに取り組んでいるところです。また、KM委員会の活動のもうひとつの柱としてIT関連の整備・運用があります。KMも単に資料化して情報を蓄積していくだけでは、情報量ばかりが増え必要な情報が探し出せない、といった事にもなりかねません。

 特にこれからの時代、ネットワーク・インターネットを利用して外部からのアクセスや検索機能を使ってタイムリーに、効率よく情報を活用できる環境を作る事が重要になってきますので、KMとITを一体化させた取り組みをしています。  

 会社全体の技術力を集約し、より良い製品を継続してお客様へお届けできる様、弊社ではこの様な取り組みにも積極的に取り組んでいます。



7.やまのひとりごと
 いつまでも新婚のように仲の良いご夫婦に、母が「どうしてそんなにも仲がいいの?」と、不思議に思って聞いたそうです。その奥様の回答が「結婚する前は、相手がどんな人なのか両目でちゃーんと見て、一緒になったら片目で見てあげればいいのよ。」
 なるほど、長く一緒にいるようになったら、お互いの良くないところや気になるところには目をつぶって、良いところをしっかり見てあげたらいいんだな~と、上手な物言いに感心してしまいました。

 どんな関係の人でも、長く一緒にいると気になる点が少しはあるものですが、
そんな箇所には片目をつぶって、もう一方の目で良いところを探してあげるといいのかも?
私も、素敵な奥様を見習いたいと思いました。