目次
1.製品紹介
2.技術コラム
3.書籍紹介 
4.EV・HEV開発最前線
5.青ちゃんの言いたい放題
6.技術コラム
7.やまのひとりごと








1.製品紹介

[シート耐久試験機]


●製品紹介

 車のシートに人が座っている状態を模擬的に作りだし、座面の耐久性を測る装置です。
座面に尻型の冶具を押し付けながら、冶具の揺動、シートの前後左右の移動を加える事により
複雑な動きのシュミレーションが可能です。

●機械部仕様
・上下加振ユニット
・揺動ユニット
・左右移動ユニット
・前後移動ユニット
・昇降ユニット

●制御機器仕様

・操作制御盤
 ・タッチパネルにて設定及び表示
 ・PLCにて制御
 ・加振荷重はグラフ表示にて確認
・JOGコントローラ
・動作制御

 ・上下加振動作
 ・揺動動作
 ・左右移動動作
 ・前後移動動作
 ・耐久試験操作

装置イメージ




*上記仕様以外にも各種オプション、特注仕様にも対応致します。まずはご相談下さい。



2.技術コラム 

『制御性確保』

 学生時に講義を聞いていて、うーん理論的だなと思った授業の筆頭に古典制御理論の記憶があります。
さらに発展形が、状態方程式やラグランジュ方程式。この辺りになってくると配列で運動方程式が表現されたり、座標が動いたりで直感的でなくなり、聴講にあまり熱心でなくなって今に至っています。

 モータベンチを提供する弊社において制御は要技術。モータのオートチューニングから始まり、恒温槽温度調節器のオートチューニングなどを済ませ、供試体調整に入ります。

 上述のオートチューニング、非常に便利なのですが制御技術者の落とし穴ともなっています。お手軽に装置を安定に制御できているかのように見えるのでそこに依存。ワークを取り付けて評価を始め、納期も目前の頃になって出てくる問題は、もう少し理詰めでモータパラメータを調整しておけばよかったのに…との反省が多くなってきています。
 まるで、カンニングペーパを隠し持ってテストを受けているような後味感。

 じっくり反省してみると戻るところは、古典制御理論。制御フローチャートを作成し制御系のブロック線図を書き系のなかで攻めるべきブロックを見極める。その後そのブロック系の1次遅れ、2次遅れを判断し全体の制御サンプリング周波数を定めてパラメータを決めて行く。面倒で一見解答不能だと思われる制御系も分解して近似化していくと、意外な制御性能が確保されることも多いです。

制御系のブロック線図を描き、必要な動特性についてはボード線図をとりながら制御性を評価すること。時間と苦労を惜しまず、基本的な手法を継続すること。これを繰り返していくと、自然に系全体のなかでどこを押さえれば制御の安定性が確保されるかがわかり、チューニングに時間をとらなくても制御系を支配することが出来るようになります。

3. 書籍紹介
『間抜けの構造』
 ビートたけし 著 2012年10月 新潮新書

 鬼才ビートたけし(北野武)が、「間」というテーマで世の中を語る新刊書。漫才や司会などでの話の間、映画における映像の間をはじめとして、スポーツ・芸能・コミュニケーションにおいての、間の取り方うまい下手、効用を独特の語り口で展開していきます。

 当然、いろいろな楽屋ネタ・あきれたエピソードが挿入されているのですが、日本人論・日本文化論まで発展させていくところが、“たけしらしさ”かもしれません。お気軽に読めてしまう本ですが、話と話の間に深い真理が隠されているのかも・・・?

ところで、著者は「間」が日本独特の文化と語っておりますが
Read between the lines! (行間を読め!)と言う、あちらの言葉も「間」につながる概念じゃないのかな?と、思ったりもします。
4. EV・HEV開発最前線
モータ試験とその技術動向‐1

 スペースクリエイションでは、ハイブリッド用モータ・ジェネレータの試験装置も手掛けています。
 HEV・EV・FCVなど駆動パワーソースとしてのモータは産業用モータと異なり、フィールド環境が非常に厳しく、とりわけ試験条件(環境および制御)については多岐にわたることからも、より一層のロバストネスの考え方を充分に考慮するべきものと捉えております。
 常にカスタムメイド対応のスペースクリエイションとしては、モータ効率測定システムに必要なパワーエレクトロニクス技術は、インバータおよび回生コンバータの開発にて構築しており、客先ニーズに沿った設計/製作が可能となりました。

弊社のMSHシリーズは、性能と耐久試験システムとして多種多様なニーズに対応できる様に、下記システム構成の可能性をさらに高め進化させています。

5. -コラム-    

「日本の強み・日本の弱み」
                    
/青木邦章

 
 年も改まり、また政権も交代し、日本も新しい方向へと一歩踏み出し始めました。新政権は内外にさまざまな問題を抱えており、順風満帆の船出とは言えないものの、今までよりも明確な進路選択をした航海になるものと予想しています。

 さてそのような中、われわれの関わっている産業界はどのようになるのでしょうか?リーマン、また3.11以降、あちこちに疲弊が見られ、特に弱電とコンピュータハード関連は、中国(台湾)・韓国の躍進に押され惨憺たる状況です。

 原因としては、日本製品のガラパゴス化にあると、自虐的に揶揄されていますが、青ちゃんはそうとも思いません。そんなことを言ったら、ガラパゴスの動物達に失礼です。彼らは彼らなりに最善を尽くして環境適合した結果であり、潜在的にはどこでもその環境に適合する能力を有しているものと思われます。

 また、細部にわたりこだわって真摯にモノづくりを志向する開発エンジニアの姿勢自体には、何も間違いはないはず。iPadのこだわりが世界を制したのはよい例です。問題なのはマーケティング戦略(商品企画)の稚拙さ、脆弱さなのだろうと思います。そして、深い洞察の後に、一機に大胆に勝負をかける、強いリーダーシップの欠如なのではないかと思います。

 アジア各地を旅していて感じるのは、化粧品・紙おむつ・粉ミルクや、さまざまな食品に見られる日本製品への絶大なる信頼感。またデパートでの各種日本発キャラクター製品コーナーの盛況ぶり。さらには新幹線や乗用車などの日本製輸送機器に対する評価の高さ。品質・デザイン・サービス体制、全てにおいて世界に冠たる領域は数多く存在します。これらは全て、日本的文化を背景に、日本人の持つ勤勉で誠実・繊細なモノづくり魂が生み出してきた宝物です。

 これからはあまり意気消沈せずに、自信をもって世界に打って出る勇気を持ちたいものです。でも、今まで以上に周りをしっかりと見据えて、本気でよく考え抜かなければいけないけれど・・・。
6.技術コラム
「材料について 『熱処理』」

 前回に引き続き、機械に使われる部品の材料についての話しです。

 鉄は「硬い」ものですが、相対的に比較すると硬さにも段階があって、鉄の種類や製造方法、加工前処理、加工後処理、様々な工程の組み合わせにより大きく変わってきます。
 一般的にはより硬い方が摩耗が少なく耐久性が上がるので、機械の中で摺動する(滑って動く)部分や精度を必要とする部分は硬くなるように設計します。

 硬くするために最も多く使われるのが、熱処理、「焼きを入れる」という方法です。反対に焼きを入れないで使う材料に対しては「生で使う」という言い方をします。
 焼入れというのは、簡単に言うと鉄を熱して冷やすという作業により、分子レベルでの結晶構造を変化させ、より強固な結晶状態にすることで硬度を上げるという事です。冷やす工程を焼戻しというので、「焼入れ焼戻し」という表現をする事もあります。

 専門的に言うと炭素量0.3%以上の鋼を加熱してオーステナイト組織の状態にした後、水中または油中で急冷してマルテンサイト組織の状態にする、ということになります。前回お話しした鉄鋼の中の炭素(C)をある程度含む材料でなければ焼き入れの効果は十分に得られないので、素材の選定も重要になります。

 ちなみに刀鍛冶が熱した鉄をカンカン叩くのは、叩くことにより不純物を排出し炭素量を調節する作業で、真っ赤に熱した刀を水にジュっと入れるのが焼入れ(焼戻し)の工程になります。刀の硬度に最も適した炭素量は0.7%らしいのですが、熟練工の手による刀の成分分析をしたところ、どれも見事に0.7%前後となっているそうです。なんでも叩いた時に飛び散る火花の形、大きさで不純物の量、炭素量を判断しているとのことですが、分子レベルの解析などをするずっと前から、職人の技術により熱処理の技法が確立されていたことにはただ驚くばかりです。

7.やまのひとりごと

新年明けましておめでとうございます。

 年々、一年の過ぎ去る速度が速まっているような気がしています。おそらく何かしら忙しいのと、平穏無事に日々が過ぎているからかしら?と考えております。

 2013年が素晴らしい1年になりますように。
う~ん!まずは宝くじ、あたらないかな~…。